5.バラスト軌道トンネル内の圧縮波減衰メカニズムと変形の予測
  • バラスト軌道トンネル内を伝播する圧縮波の変形の物理モデルを提案しました。
  • バラストを敷設することが有効な微気圧波低減対策となることがわかりました。
  • 計算時間をこれまでの1/100以下に短縮する数値計算方法を確立しました。
  •  高速鉄道における環境問題の一つであるトンネル微気圧波は、長いバラスト軌道トンネルでは小さくなることが知られています。そこで本成果では、バラスト敷設トンネルでの圧縮波の減衰メカニズムを解析し、バラスト層による微気圧波低減効果を明らかにしました。
     理論解析により、バラスト層表面での摩擦増加およびバラスト層内への空気の流入が圧縮波減衰の主要な原因であり、これらの効果は数学的にはひとつの減衰項にまとめる近似が成り立つことを示しました。本近似に基づく数値計算結果は、現地試験結果と良く一致しました(図1)。これにより、スラブ軌道トンネルにバラストを敷設した場合(厚み0.7 m)の微気圧波低減効果を試算することが可能となります。例えば350 km/hの高速列車が突入した場合、2 km程度の区間に幅4 m(複線の片側に相当)のバラスト層を設けることで、微気圧波を半分程度に低減できる可能性があります(図2、微気圧波は圧力勾配最大値に比例する)。さらに、圧縮波の大きさが大気圧に比べて十分小さいことに着目した近似により、基礎方程式を簡易化し、計算精度を落とさずに計算時間を1/100以下に短縮しました。
     本成果により、これまでのスラブ軌道に加えて、バラスト軌道のトンネルについても圧縮波の変形の予測が可能となりました。今後はこれらをトンネル微気圧波と低減効果の予測手法に組み入れる予定です。




    研究・開発 > 主要な研究開発成果(2006年度) > IV 環境との調和

    HOME
    RTRI ホームページ

    Copyright(c) 2007 Railway Technical Research Institute, Tokyo Japan, All rights reserved.