7.保護線と保護素子を用いた高抵抗地絡検出システム

 直流き電回路では、雷撃などによって電車線を支持するがいしや支持物等を介して地絡故障が発生する場合があります。ここで、地絡故障によって発生した故障電流が通常の負荷電流より小さい場合(「高抵抗地絡」という)、変電所で故障を検出することができずに故障電流が流れ続け、結果として電車線等が断線するなどの設備障害が発生する可能性があります。このため、変電所で高抵抗地絡故障を早期に検出するためのシステムを開発しました。
 開発した高抵抗地絡検出システムでは、電車線に並行して保護線を敷設(図1)するとともに、支持物と保護線との間に酸化亜鉛素子とダイオードを組み合わせた保護素子(図2)を設けます。高抵抗地絡故障が発生して支持物の対地電位が上昇すると、保護素子が導通して保護線の電圧も上昇するため、その電圧を変電所の保護線電圧継電器で検出して直ちにき電を停止します。保護素子の導通特性はダイオードによって非対称となるため、故障点以外の保護素子は導通しません。
 保護素子と保護線電圧継電器を試作し、複線区間の営業線において一方の電車線を保護線に見立てた模擬システムを構成しました。人工的に地絡故障を発生させる試験 を実電圧で実施した結果、故障発生と同時に保護線の電圧も上昇して変電所の継電器が動作することを確認し、開発した高抵抗地絡検出システムの有効性を確認しました。