2.在来線交流電車のバッテリーハイブリッド化

 電化区間と非電化区間を直通運転可能な電車として、既存の交流電車にリチウムイオン電池を搭載した蓄電池電車(試験車)をJR九州他と共同で開発しました(図1)。 既存車両の限られた床下スペースに高電圧・大容量の蓄電池(1382V-83kWh)を搭載するため、追加充放電器が不要な主回路構成と、電気的安全を確保するコンパクトな蓄電池保護回路(図2)を開発しました。
 蓄電池のみでの走行性能を確認した結果、空調を使用しない条件では、筑豊本線の中間駅から桂川駅までの約 30km を走行しました。その後の急速充電によって、20% であった充電率は 8 分間でほぼ 100% に回復しました(図3)。パンタグラフのすり板がカーボン系の場合でも、停車中の急速充電時にトロリ線が過熱しないことを確認しました。走行試験中の蓄電池温度は、冷却ファンによって最高 50°C程度に抑制されており、上限値 65°Cに対して十分に余裕があることを確認しました。
 走行試験を通して、蓄電池電車(試験車)は電化区間と非電化区間を直通運転するために必要な性能を有することを確認し、消費電力量や蓄電池温度などの量産化設計に必要な知見を得ました。