5.鉄道車両内磁界の予測手法

 近年、磁界環境に関する社会的な関心が高まっており、鉄道においても車両内の磁界環境を実際に測定するとともに、走行中の車両内の磁界分布を予め推定する手法の確立が重要な課題となっています。鉄道車両には磁気シールドや車両構体による磁界の遮蔽効果があり、簡単な理論式のみで磁界を算出することは困難です。そこで、車両内磁界解析モデルを作成し、数値解析により実際の磁界分布を推定する手法を考案しました(図1)。
 また、フィルタリアクトル(FL)付近の車両内の磁界解析結果を所内試験線における試験車両内の測定結果と比較し、本解析手法の妥当性を検証しました(図2)。この結果より、磁気シールドのような強磁性体の上部においても、本手法を用いることで車両内磁界の推定が可能となりました。
 磁気シールドや車両構体等の形状、材質、厚みを解析モデルに反映することも可能で、直流磁界、交流磁界それぞれの低減効果を確認する際にも、本手法が活用できます。