3.HILSシステムを用いた仮想走行試験環境の性能向上

 これまでに営業線での走行試験を補間可能な仮想的な走行試験環境を実現するため、 数値計算と実機による試験を組み合わせたリアルタイムシミュレーションを行うHI LS (Hardware In the Loop Simulation)システムを構築し、車体の剛体振動を再現しました。今回、本線走行時の車両の振動状態をより詳細に模擬するため、システムの精度向上や機能拡張を行いました。
 具体的には、車両試験台における軌条輪への加振入力や、編成車両の動きを模擬する車体間運動模擬装置の機械的剛性を補正する手法を開発しました。その結果、試験車両が本線走行した状態を車両試験台で精度よく再現できるようになりました(図1)。 また、要素部品開発に用いる場合は、部品を実物、車体は数値モデルとしてHILSシステムを構成しますが、その際の車体モデルを弾性振動を含んだより実際的なものに拡張しました。車両振動モデルの妥当性を検証した結果、車体床面振動加速度の推定値が実験値と一致することを確認しました(図2)。
 以上の成果により、本HILSシステムを用いることによって、本線走行時を想定した編成車両の振動状態を再現することが可能になりました。