第353回 鉄道総研月例発表会

日時 2022年01月19日(水) から
場所 ウェブ配信(視聴無料)
主題 信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

(関係研究部 信号・情報技術研究部

アンケートとご質問は締め切らせていただきました。
お忙しい中ご協力いただいた皆様に、御礼申し上げます。


信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

これまで鉄道総研では、列車の運行のさらなる安全性向上と利便性向上、運行に係る業務の負担軽減やコストの削減に関する研究開発に重点を置いて取り組んできた。しかし、 COVID-19収束後の社会における鉄道の維持発展に資するためには、これらの研究開発のスピードアップを図る必要がある。本発表では、列車の運行管理や運転業務の自動化・省力化・省設備化に関する取り組み状況を紹介するとともに、アフターコロナ社会への対応に向けた研究開発の考え方、方針について述べる。

 鉄道総研報告Vol.35No.3「輸送・交通計画分野における研究開発の動向と今後の取り組み」
 鉄道総研報告Vol.35No.10「信号通信分野における研究開発の動向」

発表者
信号・情報技術研究部 部長 川﨑 邦弘


ATS-DKを活用した自動運転システムの開発

地方交通線における列車運行コストのさらなる低減のため、列車の運転操縦を自動化し、前頭に動力車操縦免許を持たない係員(前頭乗務係員)が添乗する形態が考えられている。そこで、低コストな自動運転の実現を目指し、連続速度照査式ATSであるATS-DKをベースとした自動運転システムを開発した。本発表では、ATSを主体とした自動運転の考え方を示すとともに、それに基づき開発した自動運転システムの概要と機能検証試験について述べる。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「ATS-DKを活用した自動運転システムの開発」

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 主任研究員 藤田 浩由


カメラとLiDARセンサを統合した列車前方支障物検知手法

衝突事故防止による鉄道のさらなる安全性の向上のため、様々な環境で適用可能な線路内の支障物検知技術が必要である。そこでカメラとLiDARセンサを統合した支障物検知手法を開発した。性能評価試験の結果、昼間にカメラ単体で300m先の人物を90%以上の検知率で検知することを確認した。さらに夜間、200m先の人物について、カメラ単体では検知率0%となるのに対し、LiDARセンサとの統合により、約45%の検知率で検知が可能となることを確認したので紹介する。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「カメラとLiDARセンサを統合した列車前方支障物検知手法」

発表者
信号・情報技術研究部 画像・IT研究室 研究員 影山 椋


車両側面カメラを用いた安全確認支援および乗降者人数カウント手法

近年、ワンマン運転における運転士によるホーム上の安全確認の支援を目的として車両側面カメラを搭載した車両の導入が始まっている。そこで、このカメラを活用した安全性の向上や乗務員の負担軽減に関する研究に取り組んでいる。これまで、画像処理によるホーム上の安全確認および乗降者人数カウントの両手法を開発し、評価を実施した。安全確認手法では、人物の接近を最大誤差20cm程度の精度で検知可能であり、乗降者人数カウント手法では、ドアごとに乗車と降車を区別してカウント可能なことが分かったので紹介する。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「車両側面カメラを用いた安全確認手法」

発表者
信号・情報技術研究部 画像・IT研究室 研究員 合田 航


走行時分の調整が可能な自動加減速運転手法

列車の運転士は、列車が到着時刻に到着するように加減速を調整して運転を行っている。自動運転においてもそのような運転を可能とすることを目指し、逐次到着時刻までの残り時分を評価しながら目標速度を変更することで、走行時分を調整する運転手法を構築した。提案手法における走行時分の調整精度をシミュレーションにより検証した結果、引張力や乗車率の走行環境の違いがあった場合においても、想定した走行時分に対し数秒程度の誤差の範囲内で走行できることを確認したので紹介する。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「ATS-Pを想定した自動加減速制御のための運転パターン作成手法」

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 副主任研究員 田中 峻一


鉄道運行業務への5Gの活用に向けた取り組み

通信事業者によってサービスが開始された第5世代移動通信システム(5G)は、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つの大きな特徴があり、5Gの活用による鉄道の既存システムの機能向上や新たなアプリケーションの導入が期待されている。鉄道総研では、ローカル5G無線局を開設し、5Gの鉄道運行業務への活用可能性の検証に取り組んでいる。本発表では、開設したローカル5G無線局の概要と適用可能性の検証内容について報告する。

発表者
信号・情報技術研究部 ネットワーク・通信研究室 室長 中村 一城


無線式列車制御システムへのビームフォーミング技術の適用

無線式列車制御システムを大都市圏の複数線区に展開する場合、限られた周波数資源を活用して地上-車上間で情報伝送を行うことが重要になる。そこで、複数基地局を用いて電波の指向性を制御するビームフォーミング技術を活用し、単一周波数で同時に複数列車と無線伝送を行う手法を提案する。本発表では、無線式列車制御システムにビームフォーミングを適用する構成と、その構成下での伝送品質の試算結果を示し、適用の見通しについて報告する。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「無線式列車制御システムへのビームフォーミング技術の適用」

発表者
信号・情報技術研究部 列車制御研究室 副主任研究員 北野 隆康


転てつ装置の密着力・密着度が特異となる現象の解明

トングレールを基本レールに押しつける力(密着力)の状態はトングレール先端部の開口力(密着度)の大きさにより管理を行っているが、特定の条件で両者の関係が特異になる場合があることが課題であった。本発表では、密着力に対する密着度が特異になる現象がトングレールの接着状態や測定方法に影響することを実験およびシミュレーションにより解明したので報告する。また、これらの知見を踏まえた密着度の管理方法を提案する。

 鉄道総研報告Vol.35No.10「転てつ装置の密着力・密着度が特異となる現象の解明」

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 主任研究員 潮見 俊輔


運転時隔と信号機建植条件を考慮した閉そく割り提案手法

線路改良施策等で必要となる閉そく割り検討は、信号現示系統作成と運転時隔算出の試行錯誤が必要であり、多くの時間を要する。そこで、閉そく割り検討の手順および信号機建植位置と運転時隔の関係を基に目標運転時隔を入力とし、目標値を満たす閉そく割りを提案する手法を構築した。本発表では提案手法の概要を示した上で、既開発の閉そく割り評価システムに提案手法を実装し、モデル路線に対する閉そく割り検討に適用した結果を報告する。

 鉄道総研報告Vol.35No.3「運転時隔と信号機建植条件を考慮した閉そく割り提案手法」

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 副主任研究員 熊澤 一将


幹線鉄道の臨時列車運行計画策定支援システムの開発

日々刻々と変動する旅客需要に合わせて、幹線鉄道では臨時列車が日々設定されている。しかし、旅客需要の変動を把握することは難しく、臨時列車を適切に設定できない場合もある。そこで我々は、幹線鉄道の輸送実績データと暦配列やイベント情報等を基に、日・時間帯単位の旅客需要の予測手法を構築した。そして、この手法による旅客需要の推計値から、将来のある日の臨時列車運行計画を提案できるシステムを開発した。本発表では、構築した手法と開発したシステムについて紹介する。

 鉄道総研報告Vol.35No.3「幹線鉄道の臨時列車運行計画策定支援システムの開発」

発表者
信号・情報技術研究部 交通計画研究室 主任研究員 奥田 大樹


地域鉄道における等間隔な列車ダイヤの利便性評価

近年、地域鉄道において、列車が等間隔に発車するパターンダイヤの導入などによる利便性向上の取り組みが進みつつある。しかし、地域鉄道における運行間隔などダイヤの特性に対する利用者の評価などに関する知見の蓄積は進んでいない。そこで、全国の地域鉄道路線沿線居住者を対象とした、ダイヤ評価に関するウェブ調査を実施した。本発表では、調査結果の概要や、収集したデータに基づくダイヤ利便性評価モデルのプロトタイプを紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 交通計画研究室 副主任研究員 鈴木 崇正


関係研究部

(関係研究部 信号・情報技術研究部


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