施設研究ニュース

2023年11月号

耐風性に優れたコンパクト型上家構造の提案

1.はじめに

 プラットホーム上に設置される地平の旅客上家は,将来的な維持コスト低減の観点から,建替えに際し規模を縮小する場合があります.このようなコンパクト型上家の設計では,風荷重が支配的となることが多く,適切な耐風設計が重要です.しかし,コンパクト型上家に作用する風圧力の研究例は少なく,上家の形態と風荷重の関係も充分に整理されていません.そこで,コンパクト型上家の形態の違いが風圧力およびそれに対する躯体の応力へ与える影響を明らかにし,その結果を元に,従来の形態に比べ風圧力の低減が期待されるコンパクト型上家構造を提案しました.

2. 検討方法

 対象とするコンパクト型上家の概要を図1に示します.屋根は片流れ屋根とし,設置位置はプラットホーム端としました.また以降では,線路平行方向の壁を背面壁,線路直交方向の壁を妻壁と呼ぶこととします.このようなコンパクト型上家に対し,「屋根勾配」,「妻壁の有無」,「風向角」,「軒の有無」,「開口縦幅」,「開口パターン」を変えた模型を用いた風洞実験(図2)を行い,屋根,妻壁および背面壁に設けた圧力測定孔(図3)で計測した圧力から,屋根および壁における風圧力の分布を把握しました.更に,各面の風圧力の分布を考慮して,コンパクト型上家の躯体(図4)を対象に骨組み解析を行い,躯体の応力を検討しました.なお,躯体の断面寸法は,旧国鉄標準上家「58年度版小型旅客上家標準図」に示される片流れ屋根の旅客上家のうち,最も規模の近い形状を参考にしました.

3. 検討結果

 検討の結果,躯体の応力に対し「妻壁の有無」,「軒の有無」,「開口パターン」の影響は見られなかったものの,「屋根勾配」,「開口縦幅」,「風向角」の影響が確認できました.図5は開口縦幅と躯体の応力の関係を,図6は屋根勾配と躯体の応力の関係を表しています.このとき,グラフの縦軸は,今回検討した全条件における最大の応力が1となるように,部材ごとに基準化したもの(基準化応力)で,全風向角における最大値としています.これによると,開口縦幅が0m,0.5m,1mと大きくなるほど,桁梁,主梁,柱の応力が低減する傾向が見られ,特に主梁で大きく低減することがわかります.また,屋根勾配1/10(正勾配)と-3/10(負勾配)では,線路側に屋根が傾斜する負勾配のときに桁梁と柱の応力が低減する傾向が見られます.主梁では逆に応力が増えていますが,応力の絶対値で比較すると桁梁と柱の応力に比べ小さいことを確認しています.このことから,背面壁の開口面積を大きく取ることや,屋根を負勾配にすることでコンパクト型上家に生じる風圧力を低減できることが確認できました.

4. コンパクト型上家構造の提案

 これらの検討結果を踏まえ,耐風性能上有利となるコンパクト型上家の形態を提案したものが表1です.このとき,雨の吹き込みに対する防雨性能や閑散線区を想定した軒樋保守の観点も含め総合的に考慮することで,従来形態より耐風性能を高めた,妻壁や軒を持つ2種類の形態を提案しています.更に,各形態に対し,具体的な地域および長期荷重,風荷重,積雪荷重,地震荷重を定めて基礎を含む躯体の試設計を行ったところ,従来の形態に比べ柱断面が小さくできることを確認しました(図7).
 今後,風荷重が支配的となりやすい風の強い地域での旅客上家の更新において,コンパクト型上家への建替えを検討される際に参考としていただければ幸いです.

執筆者:構造物技術研究部 建築研究室 山本昌和
担当者:構造物技術研究部 建築研究室 土井一朗
担当者:環境工学研究部  車両空力特性研究室 鈴木 実

トンネル区間用軌道スラブの補修方法

1.はじめに

 劣化した軌道スラブの断面修復材として,コンクリートとの付着強度が高い樹脂モルタル(以下,「RM」とする.)が広く使用されています.本研究では,RMに対し,材料コストが低いポリマーセメントモルタル(以下,「PCM」とする.)の断面修復材としての有用性を確認することを目的として,営業線から撤去した軌道スラブを断面修復し,耐荷性能を確認するため水平載荷試験を行いました.また,断面修復後に列車を通過させることが可能な養生時間について検討するため,2面せん断試験を実施しました.なお,本研究の対象はトンネル区間用の軌道スラブ(A-51)であり,アルカリシリカ反応(以下,「ASR」とする.)による劣化を想定しています.

2.軌道スラブの締結部に対する水平載荷試験

 座面式のレール締結装置が用いられているA-51(図11))では,軌道スラブの肩部で板ばねのばね受台を支える構造となっており,肩部が劣化してコンクリートに浮きが生じている場合は断面修復を行う必要があります.そこで,現地から撤去したASRが生じているA-51の肩部を断面修復し,図21)に示す水平載荷試験を行いました.PCMによる断面修復の位置を図31)に示します.PCMの付着強度は,RMと比較すると低いことから,コンクリートのはつり面は,図41)に示すように通常のはつり面の他に,25mm間隔のクロス状の溝(深さ2mm程度)を設けた面も準備しました.断面修復作業は気温7.8℃で行い,水平載荷試験はPCMの材齢31日目に実施しました.水平載荷試験の最大荷重の上限は,設計荷重よりも大きく,かつ軌道スラブに取り付けた反力治具が損傷しない荷重で120kNとしました.なお,はつり後に溝を設けた面を断面修復したケースでは,反力治具を軌道スラブに固定しているアンカー部等にひび割れが生じていないか確認を行いながら,十分な安全を確保して,破壊が生じるまで載荷を継続しました.
 図51)に水平載荷試験で得られた荷重と載荷治具の載荷方向変位の関係を示します.はつり面の状態がどちらの場合であっても,載荷荷重は設計荷重77.9kN2)以上となり,十分な耐力を有していることを確認しました.1締結装置あたりに作用する設計横圧は10.2kN2)であり,その際の載荷治具の載荷方向変位は0.3mmと微小でした.載荷試験後の肩部の状況を図61)に示します.はつり面を断面修復した肩部では,120kNの水平載荷試験で変形している様子は確認されませんでした.また,破壊するまで載荷を継続した「はつり後に溝を設けたケース」の肩部では,破壊面が確認されました.破壊面はPCMとコンクリートの界面(はつり面)ではなく,PCM内に形成されていました.その面積は載荷用鋼板(幅90mm=板ばねと同寸法)の両端から45°方向に肩部幅の1/2までと仮定した台形状の面積(90+338)×124/2=26,536mm2よりも大きくなりました.なお,はつり後に溝を設けたケースの方が,載荷方向変位が大きい傾向にあったのは,載荷治具と肩部の間に挿入した鋼板の接触状態が載荷初期(20kN程度まで)の変位に影響を与えたためと考えられます.
 以上より,座面式のレール締結装置が用いられている軌道スラブでは,肩部の断面修復にPCMを用いることが可能と考えられます.

3.PCMに対する2面せん断試験

 PCMによる断面修復後に列車を通過させることが可能な養生時間について検討するため,2面せん断試験を実施し,せん断付着強度を確認しました.軌道スラブから80×80×80mmの12体のコンクリートブロックを切り出しました.ここで,6面のうち1面がはつり面となっています.この内,6体のはつり面に対して25mm間隔,深さ2mm程度のクロス状の溝を加工しました.次に,2体のコンクリートブロックの間隔が60mmとなるように固定した後,周囲に型枠を設けてPCMを打込み,図71)に示す2面せん断試験用の供試体を作製しました.作製した2面せん断試験用の供試体の数は,通常のはつり面用が3体,はつり後に溝加工した面用が3体です.気温10℃±3℃,材齢2時間,1日,7日で実施した2面せん断試験で得られたせん断付着強度を図81)に示します.図81)より,材齢1日および7日におけるせん断付着強度は,コンクリートの付着面にかかわらず,ほぼ等しいものの,材齢2時間のせん断付着強度は,はつり後に溝加工した面において1.06N/mm2,はつり面において0.36N/mm2となりました.材齢2時間のせん断付着強度の違いは,補修材と溝の機械的なかみ合いが生じたこと,および溝に補修剤が入り込み,付着面積が増加したことによるものと考えられます.
 また,1締結装置あたりに作用する横圧を10.2kN2)とした場合,図61)に示した破壊面の面積を用いてせん断付着応力度を算出すると0.38N/mm2(=10.2kN×1,000/26,536mm2)となりました.したがって,はつり後に溝加工した面のせん断付着強度1.06N/mm2のみがせん断付着応力0.38N/mm2を満足する結果となりました.
 以上より,はつり後に25mm間隔,深さ2mm程度のクロス状の溝を加工した面であれば,PCMで断面修復した場合であっても材齢2時間で列車を通すことが可能であると考えられます.

4.まとめ

・水平載荷試験の結果,はつり面の状態に関わらず,十分な耐荷性能を有していることを確認しました.
・2面せん断試験の結果,溝を加工したはつり面であれば,PCMで断面修復した場合であっても材齢2時間で列車を通すことが可能であることを確認しました.

参考文献

1)北条優,高橋貴蔵,髙橋成汰:令和5年度土木学会全国大会第78回年次学術講演会,V-1230,2023
2)公益財団法人鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説-軌道構造,丸善出版,2012

執筆者:軌道技術研究部 軌道・路盤研究室 北条 優
担当者:軌道技術研究部 軌道・路盤研究室 高橋貴蔵

テルミット溶接施工における溶接欠陥の発生傾向

1.はじめに

 在来線で40年以上の使用実績を有しているテルミット溶接法(通称,ゴールドサミット溶接法)の信頼性は,溶接欠陥からの折損が多く発生していた1990年頃に比べて非常に高くなっているとともに,仕上り検査技術の向上により,折損に至る事象がほぼ皆無になっています.鉄道総研では折損したレール溶接部の調査を通じて,溶接欠陥の発生傾向を把握してきましたが,それが掴めなくなっているのが現状です.そこで本稿では,レール溶接施工会社の協力を得てアンケートを実施し,その結果から明らかとなったテルミット溶接施工における溶接欠陥の発生傾向などを整理し,今後の課題を示します.

2.アンケート調査の概要

 溶接欠陥および施工不良の発生を現状よりさらに低減することを目的とし,凝固割れをはじめとする溶接欠陥の発生傾向を把握するため,レール溶接施工会社に対して,2011年度から2020年度の10年間のテルミット溶接施工で発生した溶接不良に関するアンケート調査を依頼しました.なお,調査した内容は,10年間におけるテルミット溶接の施工数のほか,外観検査,浸透探傷検査および超音波探傷検査で不良判定されて再溶接(補強継目板を設置)した件数とその詳細です.

3.調査結果

 図1に2011年度から2020年度の10年間のテルミット溶接施工において溶接不良などが発生して再溶接(補強継目板を設置)した割合の推移を示します.施工年度によって変動はありますが,この10年間で再溶接となった溶接不良発生率の平均は0.245%であり,鉄道総研が把握している当該期間のテルミット溶接部の折損率(0.003%)と比較すると二桁高いことがわかります.また,図2に再溶接となった要因とその割合を示します.これより,再溶接となった要因の70%以上が外観検査,あるいは浸透探傷検査で検出された「表面きず」であることが判明しました.表面きずは,図3に示すブローホールによるものが大半で,鉄道総研で実施した再現試験の結果1)より,新品レールと敷設レールとの溶接時に,モールドとの隙間が大きくなる摩耗した敷設レールのあご部や底面に入り込んだ溶鋼と目地砂との接触により生じたガスに起因していると考えられています.なお,レール溶接部に対する外観,浸透探傷検査では,有害な欠陥かどうかを判定するための明確な基準がないため,発生した場合にはすべてが再溶接の対象となっていると考えています.
 次に発生が多いのは超音波探傷検査で検出された「凝固割れ」です.凝固割れの発生を回避するために,溶鋼の凝固段階ではすべての作業を中断するなどの対策が行われていますが,未だに年間3~4件程度発生していることが明らかとなりました.凝固割れは,溶鋼の凝固段階で何らかの要因でレールが引っ張られることにより,下首部から底部領域に発生すると考えられています.図4に凝固割れの破断面を示すように,平面状の欠陥形態となることから,図5に示す底部二探触子法の超音波探傷検査で不良と判定される2級以上のきずエコーが検出されていると考えています.図6に発生した凝固割れを底部二探触子法で検知した際の欠陥等級を示すように,そのほとんどは2級以上のきずエコーを検出して不良判定されていますが,10%程度は1級以下と判定され,早期の折損につながる可能性があることも判明しました.また,凝固割れ以外に超音波探傷検査で頭部および腹部領域にきずエコーが検出された「内部きず」には,複数のブローホールやスラグの介在,信号ボンドのはんだ材に起因した割れなどがあると推察されます.
 その他,モールド内に充填した溶鋼がモールドの隙間などから漏れ出す「湯漏れ」も凝固割れと同程度発生していることがわかります.なお,「施工不良」にはプーリングプラグやオートタップの取り付け不良,緊張器を誤作動させたものなどが含まれており,いずれも外観検査で不良判定されています.

4.今後の課題

 溶接不良が発生して再溶接となると,施工コストの増加につながります.特にその要因の70%以上を占める「表面きず」がレール溶接部の強度に及ぼす影響について,ほとんど検討されたことがないため,明確な判定基準を示せていないという課題があります.また,早期折損につながる可能性のある「凝固割れ」については,その発生を回避する方法に加えて,万が一凝固割れが発生した場合でも,確実に検出できる検査方法が必要と考えています.
 鉄道総研では,新幹線の高速区間へのテルミット溶接法を導入するための各種検討を行っています.その中で開発したモールド2)は,レールとの隙間を極力小さくできるように形状を改良するとともに三分割方式を採用しており,表面きずの抑制効果が高いと考えています.また,交換するレールの両端の溶接時におけるレールの動きが凝固割れ発生におよぼす影響を調査し,凝固割れの発生を回避する溶接施工手順2)も提案しています.今後は,発生した凝固割れに対する確実な検査方法の開発,さらには表面きずおよび凝固割れの溶接欠陥がレール溶接部の強度に及ぼす影響についての検証が必要と考えます.

参考文献

1)寺下善弘,山本隆一,辰已光正,伊藤太初,梅内一行:テルミット溶接部の表面きず発生原因とその防止策,鉄道総研報告,Vol.29,No.8,2015
2)寺下善弘:新幹線高速区間に適用可能なテルミット溶接法,第360回 鉄道総研月例発表会,2023.05

執筆者:構造物技術研究部 レールメンテナンス研究室 寺下善弘
担当者:構造物技術研究部 レールメンテナンス研究室 伊藤太初,小納谷優希

ポリウレア樹脂吹付け工法の適用事例

1.はじめに

 鉄道トンネルの維持管理上,覆工コンクリートの剥落は列車の安全運行を脅かす事象であり,適切な検査と措置により未然に防がなければなりません.このような剥落を防ぐ対策工として,筆者らは施工工程が比較的少なく不陸にも強い,ポリウレア樹脂吹付け工法を開発しました.
 ポリウレア樹脂とは,ポリイソシアネートとポリアミンとの化学反応によって形成されるウレア結合が主体となった化合物で,引張強度は25N/mm2程度と十分大きい一方,200%以上の優れた伸び性能を有するため,ひび割れ追従性に優れています.
 ここでは,ポリウレア樹脂吹付け工法の長期耐久性試験結果と代表的な適用事例を2例ご紹介します.

2.長期耐久性試験

 開発に当たり,各種室内試験により性能を確認した後,2015年に寒冷地の廃線トンネルにおいて試験施工を実施し,良好な施工性を確認しました.試験施工では,漏水の有無,下地処理の方法(ウエス,圧搾空気,ディスクサンダー)の組み合わせで6ケース,各ケース2m2の施工を実施しました(図1).漏水ありの箇所については,止水セメントにて,一時的に漏水を止め,乾燥状態としたうえで施工しています.
 施工後は,長期耐久性を確認するため,建研式接着力試験により付着強さの経年変化を確認しています.試験結果を図2に示します.下地処理の方法や漏水の有無によって結果に明瞭な差は認められず,また,6年という期間においては付着強さの明瞭な低下傾向は認められない結果を確認しています.

3.クリアタイプの適用事例

 続いてコンクリートブロック造りのトンネルに適用した事例を紹介します.当該トンネルの覆工には,煤煙が付着していることで,覆工表面の酸劣化が進行しており,一部骨材が露出していました.覆工表面や骨材の落下が懸念される一方,覆工表面の劣化部を除去すれば比較的健全なコンクリートが露出する状況でした.そこで,事前にコンクリートブロック覆工に対して建研式接着力試験を実施し,基準となる付着強さ(1.5N/mm2以上)を確保できることを確認した上で,ポリウレア樹脂吹付けによる剥落対策を適用することとしました.
 ウォータージェットによる下地処理により覆工表面の脆弱部を除去(図3)した後,ポリウレア樹脂吹付け工を施工(図4)しました.
 ポリウレア樹脂は基本的には図1に示した通り,不透明のグレータイプですが,ここでは,樹脂吹付け後も覆工表面の状況を引き続き確認できるクリアタイプを適用しました.クリアタイプは,引張強度は15N/mm2、伸び性能は450%と、グレータイプより強度が若干低く、伸びが大きい特性を有します.図5にポリウレア樹脂吹付け完了後の状況を示します.

4.凹凸箇所での適用事例

 続いて,単線山岳トンネルの無筋コンクリート覆工のジャンカによる凹凸部に適用した事例を紹介します.
 当該箇所は図6に示すように,覆工表面にジャンカによる1~2cmの凹凸があり,粗骨材の落下の懸念があることから,検査に時間を要していました.そこで,ポリウレア樹脂を吹付けることにより,粗骨材落下の懸念を取り除くこととしました.適用に当たっては,通常,母材に対する建研式接着力試験により,付着強さの基準値を満足することを確認した上で適用を決定しますが,当該箇所においては,不陸が大きく,建研式接着力試験の実施が困難でした.
 そこで,漏水,支障物等の一般的な事項について問題がないことに加えて,以下の4点を満足することを確認した上で適用して良いと判断しました.

     
  1. 覆工コンクリートに閉合ひび割れ等はなく,想定される剥落片の大きさは粗骨材程度であり,大きなコンクリート塊が落下する懸念はないこと
  2.  
  3. 電動工具あるいはウォータージェットで下地処理をすることで,脆弱部を除去できること
  4.  
  5. 想定剥落範囲内において骨材の緩みやコンクリートの著しい劣化は確認されず,全面において,ハンマーによる強打をしない限り覆工表面が容易に剥離する状況でないこと
  6.  
  7. 覆工に鋼材等の剥落を助長する腐食・膨張する材料が含まれていないこと
 吹付け完了後の状況を図7に示します.なお,当該箇所は坑口付近であり,紫外線の影響を受ける箇所であることから,トップコートを塗布しています.

5.おわりに

 本稿では,ポリウレア樹脂吹付けの長期耐久性試験結果と特徴的な適用事例についてご紹介しました.今後とも剥落対策工としての適用事例を増加させ,トンネルの長寿命化,維持管理の低コスト化に貢献していきたいと考えています.

執筆者:構造物技術研究部 トンネル研究室 嶋本敬介
担当者:構造物技術研究部 トンネル研究室 野城一栄,三輪陽彦

発行者:柴田 宗典 【(公財) 鉄道総合技術研究所 施設研究ニュース編集委員会 委員長】
編集者:栗原 璃  【(公財) 鉄道総合技術研究所 防災技術研究部 気象防災】