第368回 鉄道総研月例発表会

日時 2024年05月22日(水) 13:00~16:45
場所 日本工業倶楽部会館2階 大会堂
主題 信号技術および情報通信技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容


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事前登録期間:2024年4月22日(月)10時から5月20日(月)18時まで

13:00~13:10
信号技術および情報通信技術に関する最近の研究開発

 信号技術および情報通信技術に関する研究開発では、主に鉄道の安全性の向上、デジタル技術による鉄道システムの革新を目指し、輸送サービスや列車運行システム、設備保守等の課題解決に取り組んでいる。本発表では、これらの取り組みに活用されているAIや情報通信システムなどの新しい技術を活用するための考え方を示すとともに、最近の研究開発の概要を報告する。

発表者
情報通信技術研究部長  福田 光芳

13:10~13:30
前方監視におけるAIの判断ミスのトレース手法

 鉄道において、これまで目視によって行われていた業務の効率化に向け、カメラ画像に対してAIを活用する取り組みが進んでいる。しかしながら、将来的な自動運転などの安全に関わる業務への適用を考えると、AIによる判断ミスが起きた際の原因究明は重要である。そこで、列車前方の支障物を検知するための前方監視システムを対象として、AIによる見逃しなどの判断ミスの要因を推定するトレース手法について報告する。

発表者
情報通信技術研究部 画像解析研究室 研究員  合田 航

13:30~13:50
汎用端末を用いた保安システム入出力装置の構成手法

 近年、スマートフォンやタブレット端末といった汎用のモバイル端末が、産業用途においても利活用されている。これら汎用端末は、鉄道信号の専用装置と比較して、一般に安価かつ高性能であり、信号保安システムの状態監視や操作端末としての活用が期待されている。本発表では、汎用端末の適用にあたっての安全性や情報セキュリティの課題を概説するとともに、連動制御盤等の信号保安システムの操作端末として汎用端末を適用することをモデルケースとした安全分析手法と構成手法について報告する。

発表者
信号技術研究部 列車制御システム研究室 主任研究員  祗園 昭宏

13:50~14:10
運転整理の評価基準の提案と評価基準を用いた運転整理手配の分析手法

 輸送障害時の指令員による運転整理業務の支援を目的とし、異なる運転整理案を比較するための評価基準として、駅への到着遅延時分が閾値以上となる旅客数を表す「到着遅延人数」を考案した。また、到着遅延人数を用いて、運転整理手配の変更により、どの時間帯、利用区間の旅客の利便性が変化したかを分析する手法を提案した。本発表では、運転整理に対する評価基準および運転整理手配の変更による影響の分析手法の概要と、単線の実路線での輸送障害を対象としたケーススタディの結果について報告する。

発表者
信号技術研究部 運転システム研究室 研究員  髙田 真由

14:10~14:30
利便性を考慮した省エネダイヤ作成手法

 駅間の走行時分調整による力行電力量削減と、力行とブレーキのタイミング調整による回生電力の有効活用を組み合わせることで、列車走行時の消費電力量を削減する手法を構築した。各列車の始発駅から終着駅までの所要時間を変えない条件下で、ダイヤ改正時には計画ダイヤ、小規模遅延発生時には運転整理ダイヤを入力とすることで省エネダイヤを作成できる。営業線を対象とし、日中40分の計画ダイヤに対して開発手法を適用して、10.5%の省エネ効果が得られることを確認したので報告する。

発表者
信号技術研究部 運転システム研究室 副主任研究員  国崎 愛子

14:30~14:50
通勤列車グリーン車需要の価格弾力性の推定手法

 通勤列車において、グリーン車の快適性と普通車両の混雑度は相互に影響しあうため、それらのバランスを適正にする料金設定は重要な課題である。グリーン料金の変化が需要変動に与える影響を定量化する方法として、路線や日ごとに料金を変化させる社会実験を行うことが考えられるが、実現するためのハードルは高い。そこで営業キロ51kmを境に増加する階段状のグリーン料金体系に実験的状況を見出すことにより、社会実験を行わなくとも料金の変化が需要に与える影響を定量化できる手法を開発したので報告する。

発表者
情報通信技術研究部 情報解析研究室 副主任研究員  松本 涼佑

14:50~15:05
休憩

15:05~15:25
無線式列車制御システムへのビームフォーミング方式の適用と伝送品質評価

 無線式列車制御システムを大都市圏に展開する際には、限られた周波数を有効活用して多くの列車に制御情報を伝送することが必要となる。これに対して、ビームフォーミング方式を適用して列車ごとに指向性を設定することで、同じ周波数資源の環境下でも各列車に対応した制御情報を伝送することが可能となる。本発表では、ビームフォーミング方式の概要、無線式列車制御システムに適用する場合のシステム構成、そして開発した伝送品質評価手法を用いたビームフォーミング方式の適用効果について報告する。

発表者
信号技術研究部 列車制御システム研究室 主任研究員  北野 隆康

15:25~15:45
信号用電子機器の使用環境改善による寿命延伸効果の定量化

 信号用電子機器は、列車の安全・安定運行を確保するための設備として、沿線に広く導入されているが、更新にかかるライフサイクルコスト低減のための長寿命化に対して高いニーズがある。本発表では、踏切制御子用の収容箱に対して、直射日光による箱内の温度上昇を抑制する対策を施工した際の温度上昇抑制効果、調湿材を箱内に設置した際の箱内湿度の低減効果、そしてこれら箱内環境の改善対策による信号用電子機器の寿命延伸効果について報告する。

発表者
信号技術研究部 信号システム研究室 研究員  進藤 卓朗

15:45~16:05
車載RFIDリーダによる地点検出と地上設備監視システム

 無線による自動認識技術(Radio Frequency Identification: RFID)は、貨物コンテナの管理や工具管理等に利用されてきた。周波数920MHz帯を利用するRFIDは、2019年より移動範囲が限定されない陸上移動局としての利用が可能となり、鉄道車両に通信距離の長い出力1WのRFIDリーダが搭載可能となった。そこで、鉄道応用を目指して、利用例の少ない陸上移動局の車載RFIDリーダを用いた地点検出と地上設備監視システムを構築し、所内試験線にて機能検証を行ったので報告する。

発表者
浮上式鉄道技術研究部 磁気浮上研究室長  田中 実

16:05~16:25
列車前方画像を用いた沿線設備の管理支援システム

 鉄道の沿線設備は線区全体に広範に設置されているため、作業員が線区のすべての設備を巡回する目視点検等においては移動距離が長大となり、作業に多大な労力を要している。そこで沿線設備のメンテナンス業務の作業負担軽減を目指し、列車前方画像から長尺な俯瞰画像の生成やキロ程の算出、設備認識、劣化度の判定等を行うことにより、現場に行かずとも線路周辺や設備の状態確認が可能なシステムを開発したので報告する。

発表者
情報通信技術研究部 画像解析研究室 研究員  前田 梨帆

16:25~16:45
鉄道向け統合ネットワークおよび高機能ルータの提案

 鉄道システムに流れる列車運行に関する制御情報やメンテンナンスに関する情報などを伝送するネットワークの大半は、系統や設備毎に自営の通信回線で構築されてきた。しかし、自営回線の維持コスト負担の軽減や高速通信に対するニーズの高まりから、公衆回線の活用が期待されている。そこで、自営回線と公衆回線を融合した鉄道向け統合ネットワークと、鉄道機器とネットワークを結ぶゲートウェイ装置として、回線の切り替え機能等を保有した高機能ルータのプロトタイプシステムを開発したので報告する。

発表者
情報通信技術研究部 通信ネットワーク研究室 主任研究員  流王 智子

司会:長峯 望(情報通信技術研究部 画像解析研究室長)


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