27. 災害時や乗務員・車両不足時における暫定ダイヤの自動作成手法

 災害や感染症拡大等で乗務員や車両が不足した場合、平常ダイヤでの運行が出来ず、列車を減
便した暫定ダイヤでの運行が必要となります。暫定ダイヤでは、充当可能な乗務員数や車両数の
制約とともに、徐行区間の設定などにより通常と異なる所要時間となるため(図1)、計画担当
者には新規にダイヤを作成するのと同等の負担が生じます。また、段階的災害復旧に応じた運行
区間の逐次変更に伴い、暫定ダイヤをその都度作成する必要がありますが、大都市通勤路線など
では、最低でも作成に5 日を要することもあります。そこで、大都市通勤路線を対象に、運行の
制約を考慮した上で、平常ダイヤから減便する列車本数を必要最小限とした暫定ダイヤを、短時
間で自動作成する手法を開発しました。

 開発した手法では、充当可能な乗務員数、車両数から運行可能ダイヤを作成する課題に対し、
乗務員数、車両数の各制約を考慮した運転可能頻度を算出します。また、徐行による所要時間の
増加で車両の運用効率が悪化し、運転可能頻度が低下する影響を、1 往復に要する時間の増加率
を用いて評価します。さらに、減便で列車間隔が開くことによる混雑の増大と停車時間の増加、
停車時間の増加によるさらなる列車間隔の増大という相互作用を解決できるように、列車間隔と
停車時間を最適化します。これにより、制約条件を満たしつつ、遅延を抑制した定時性の高い暫
定ダイヤが作成できます。

 開発手法を実路線に適用したところ、数秒の計算時間で暫定ダイヤを作成できることを確認しま
した(図2)。開発手法は、災害時や乗務員不足時の事業継続計画(BCP)の策定にも活用可能です。