28. お客さまの不快度を考慮した駅構内の混雑評価手法

 駅構内の混雑度の評価には、現在、その場所の混雑の継続時間(滞留時間)が主な評価指標とし
て用いられています。しかしながら、混雑箇所の空間構成(階段幅員など)や利用状況(乗降人数
の割合など)は駅ごとに異なり、また、駅を利用する旅客の混雑に対する許容度(交通サービスと
して許容できる混雑状況)は旅客ごとに異なると考えられます。したがって、滞留時間だけでは混
雑度を比較・評価できないのが実情です。

 そこで、旅客の混雑に対する許容度をアンケート調査によって把握して個々の旅客が許容できる
混雑(密度)とその混雑に耐えられる時間をモデル化し、これと旅客流動解析と組み合わせて求ま
る旅客の不快度を用いた混雑の評価手法を提案しました(図1)。従来の滞留時間に加え、本評価
手法を用いて駅構内で時々刻々と変化する旅客の不快度を算定することで、駅構内各部の混雑を定
量的に評価できます。また、旅客流動解析により旅客属性や駅の空間構成を考慮した混雑箇所の不
快度が算定できることから、他駅とも同一の指標(不快度)で混雑箇所を評価することが可能にな
りました。これにより、駅構内各部や他駅の混雑箇所の不快度を比較し、駅改良計画等の優先順位
の判断に本手法を活用することができます。