22. 電気式気動車の高効率化のための発電システム設計手法

 非電化区間用車両の保守性や省エネ性能の向上を目指して、ハイブリッド気動車や電気式気動
車の導入が進められていますが、これらは従来の液体式気動車と比べて動力伝達効率が低いため、
燃費向上が重要な課題となっています。そこで、エンジンと発電機を中心とした発電システムに
ついて、高効率な発電システムの設計手法を開発しました。

 発電システムの燃費向上を実現する上で、エンジン効率の良い領域での使用と発電機損失の低減
は非常に重要な課題です。しかし、エンジン効率の特性は一般に明らかにされておらず、それを
十分に考慮した設計がされていませんでした。そこで、単体試験によりエンジンの詳細な熱効率
マップを取得した上で、発電システムの効率マップを作成しました。この結果に基づいて、効率最
大となるエンジン動作点を選択して使用する手法を提案しました(図1)。本手法では、エンジン
出力が回転速度とトルクの積に比例することに着目し、同じエンジン出力となる回転速度とトル
クの組み合わせのうち、もっとも発電効率が高くなる組み合わせを選択します。

 また、発電電力と発電機効率の特性を把握するために、従来から採用例が多い誘導機とブラシ
レス同期機、近年発電機としても実用化された永久磁石同期機の三種類について設計検討を行い、
永久磁石同期機の効率が最も高いことを確認しました。

 これらの結果を受けて、高効率な永久磁石同期機の使用とエンジン動作点の改良による省エネ
効果を、ハイブリッド気動車を対象に試算したところ、燃料消費量を約10% 削減できることを
確認しました(図2)。