26. 高速走行する列車における台車部空力音・圧力変動の低減対策

 鉄道の沿線環境の改善や維持において、騒音や低周波数域の明かり区間圧力変動(以下、圧力
変動)は課題の1 つとして位置付けられています。高速走行する列車の沿線騒音は転動音・構造
物音・空力音等から構成されますが、台車部から発生する空力音の寄与が最も大きいことがわかっ
ています。また、先行研究による現象解明の結果、圧力変動についても台車部が主な発生源であ
ることが判明しました。そこで、台車部から発生する空力音と圧力変動の双方に有効な低減対策
を考案し、風洞試験で検証しました(図1)。

 空力音と圧力変動の低減に向けた基本的な考え方は、①台車内部の部材に高速気流を当てない
音源側の対策、②音の多重反射が生じる台車格納部の内側に吸遮音構造を設けるなどの伝搬過程
における対策となります。この指針にもとづき、風洞試験を複数回行い、空力音と圧力変動の双
方に低減効果を発揮する数種類の対策を見出しました(図2)。また、複数の対策を組み合わせると、
それぞれの対策の効果が重ね合わさることから、代表的な周波数毎に低減量を一覧表として整理
しました(表1)。このうち、最も実用化の可能性のある隅部丸み付け対策については、鉄道事
業者により類似の対策が行われた実車の測定を実施し、一定の低減効果を確認しました。

 今後は、低騒音列車模型走行試験装置も活用し、営業車への搭載を十分に考慮した、より実用性
の高い対策の考案と検証を進めます。