25. 高架橋防音壁の取替に向けたユニット型吸遮音壁

 新幹線高架橋における将来的な大規模改修では、防音壁の老朽化対策として取替が計画されて
おり、効率的な施工と更なる低騒音化を実現できる新たな防音壁構造が求められています。そこで、
防音壁の取替に向けてユニット型吸遮音壁を開発しました(図1)。

 ユニット型吸遮音壁は、一定幅の柱状構造を構成単位(1 ユニット)とし、これを線路方向に
連結して壁面を構成します。素材には高耐食性鋼板と防食被膜処理を施した鋼材を使用し、実用
上十分な強度を確保しつつ、同じ高さのコンクリート製防音壁と比較して重量比が約1/3 となる
軽量化を実現しました。そのため、現場での組立ておよび設置は、全て人力で行うことができます。
また、施工に重機を必要としないため、適切な安全対策を施せば日中の作業が可能です。

 沿線での低騒音化の実現に向けて、軌道側表面には特性の異なるポリエステル繊維材料を重ね
た積層型吸音材を導入しました(図1)。これにより、防音壁用吸音材として従来から広く使用さ
れているグラスウールと同等以上の吸音性能を実現しました(図2)。遮音壁と吸音板を一体化し
た構造である利点を活かして軌道側の全面を吸音面としており、追加の吸音対策は不要となりま
す。営業線での試験施工後に、指向性マイクロホンを用いて騒音測定を行った結果、1 編成通過
時の等価騒音レベルの9 列車平均が、コンクリート製既設防音壁と比較して2.4dB 低減すること
を確認しました(図3)。