アルカリシリカ反応抑制のためのLi含有ゼオライトの開発

アルカリシリカ反応を抑制するために、Li含有ゼオライトを用いた新たな補修材料を開発しました。

1.はじめに

アルカリシリカ反応(以下ASR)は、コンクリート中に含まれるアルカリ分と骨材中のアルカリ反応性鉱物が反応し、コンクリートに異常な膨張やそれに伴うひび割れを生じさせる反応です(図1)。ASRにより劣化したコンクリートの補修方法は数年から10年程度で再変状が生じることがあり、耐久的な補修工法の検討が望まれていたことから、Li含有ゼオライトを用いた新たな補修材料を開発しました。

図1 ASRによる劣化事例

2.Li含有ゼオライトによるアルカリシリカ反応抑制

コンクリート材料研究室では、既開発のCa-A型ゼオライトを改良し、交換性陽イオンをよりASR抑制効果の大きなLiイオンとしたLi-A型ゼオライトを作成し、そのASR抑制効果が高いことを示しました。ただし、Li-A型ゼオライトはその作製にコストが掛かるため実用化されていませんでした。そこで、Li含有ゼオライトの低価格化を検討し、焼成カオリン(メタカオリン)から安価にLi含有ゼオライト(Li-EDI型ゼオライトおよびLi-ABW型ゼオライト)を合成する手法を開発しました。また、このゼオライトを使用したひび割れ注入材を試作し、そのASR抑制効果が既存のものよりも大きく(図2)かつ、0.04mmの細かなひび割れにも十分注入出来ることを確認しました(図3)。

現在、このひび割れ注入材を市販化するための作業を進めています。

図2 Li含有ゼオライトのASR膨張抑制効果
図3 ひび割れ注入材注入施工写真

3.特許

  1. 特許第5253732号「コンクリート構造物のアルカリ骨材反応対策工法」
  2. 特許第5594710号「リチウム型ゼオライトの製造方法」
  3. ABW型ゼオライト、それを用いたアルカリシリカ反応抑制材、およびそれらの製造方法 特許公開2013-237585
  4. アルカリシリカ反応抑制材料及びその製造方法 特許公開2013-075788

参考文献

  1. 上原元樹、水野清、松本泰治、後藤義昭:Li 含有ゼオライトの合成とコンクリートのアルカリシリカ反応抑制材料への利用、ゼオライト、Vol.31、No.1、pp.9-18、2014
  2. 水野清、上原元樹、佐藤隆恒、松本泰治、後藤義昭:リチウム含有ゼオライト添加注入材の開発とアルカリシリカ反応抑制効果、第11回コンクリート構造物の補修、補強、アップグレードシンポジウム論文報告集、pp.493-500、2011
  3. 上原元樹、水野清、佐藤隆恒、松本泰治、後藤義昭:メタカオリンを出発物質としたLi 含有ゼオライトの合成、粘土科学、Vol.50-1、pp.1–11、2011
  4. Uehara M., Sato T., Mizuno K., Matsumoto T., and Goto Y.:Suppression of Alkali-Silica Reaction by Li-containing zeolites prepared from Metakaolin, International Symposium on Zeolites and Microporous Crystals, 2008
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