トンネル内を走行する車両屋根上の流速

トンネル内を走行する車両屋根上の流速に対して、境界層の影響を考慮した数値流体解析を実施しました。

1.はじめに

列車がトンネル内を走行すると、車両屋根上の流速は明かり区間(トンネル区間以外の区間)における流速と比較して早くなります。流速が速くなる理由は、トンネル内における車両断面による閉塞の影響が主なものですが、ほかにも屋根上に発達する境界層の影響が考えられます。本研究では、トンネル内を走行する車両屋根上の流速を対象に、境界層の影響も考慮した三次元数値流体解析を実施しました。また、パソコンで簡易に屋根上流速を検討可能な手法の開発も合わせて行いました。

2.三次元数値流体解析

解析には汎用流体解析ソフトウェアANSYS Fluent(Ver. 15.0)を利用しました。図1に列車先頭部から45mおよび160m離れた断面における流速コンター図、および車両中央断面における流速コンター図を示します。これらから、車両周りには境界層が発達し、境界層の排除効果によって、境界層の外側ではトンネル内の流速が増加している様子が読み取れます。

三次元数値流体解析では、図1に示した実物に近い詳細な形状に加えて、比較のため、簡易な円形断面形状および詳細な形状にさらに碍子オオイを取り付けた形状についても解析を実施しました。その結果を図2に示します。実物の形状に近いほど実測値に近い流速が得られていることが分かります。

図1 トンネル断面内の流速分布
図2 各形状における車両屋根上1.4m地点の流速

3.簡易計算法

三次元数値流体解析は、車両とトンネルの詳細な形状を再現し、乱流の影響も計算に取り入れることができますが、専用のソフトと大型のコンピューターが必要となります。そこで、パソコンレベルで流速の検討が可能な簡易な計算法を開発しました。

図3に簡易計算法のモデルと計算結果を示します。簡易計算法においては、車両とトンネルの双方を円管とし、2つの円管の間の流れに対して、境界層の分布を当てはめるものです。図3(b)の計算結果を見ると、三次元数値流体解析に比べると、絶対値の精度は高くありませんが、約20~30%の精度では流速予測が可能です。また、各パラメーターの影響も容易に検討可能であり、三次元数値流体解析の補間手法としての利用が想定されます。

図3 簡易計算モデルと流速分布の比較

参考文献

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