5. 時間的に変化する動的な風速マップの作成

 近年、台風の強大化などに伴い、より強い風がより広範囲な場所で吹く事象が増えており、離散
的な風速計で観測された強風データを補間する必要性が高まっています。そこで、低コストで広範
囲かつきめ細やかな強風監視を実現するため、風速計で時々刻々観測される「点」の実況風速と気
流解析で得られる「面」の風速分布を組み合わせて、時間的に変化する動的な風速マップを作成す
る手法を開発しました。

 本手法では、1 基以上の風速計の配置地点を含む概ね30km 四方の領域(図1 左上)を対象に、
あらかじめ風向毎に気流解析を実施し、風速計の配置地点での風速を基準とした領域内の各地点
での風速の増減率(図1 左下)を求めておきます。この増減率は、領域内での平均的な風の強弱
と局所的な風速増加の効果を考慮しています。風速計で観測された実況風速(図1 右上)に増減
率を乗じることで面の風速分布(風速マップ、図1 右下)が得られ、実況風速が更新される度に
風速マップも更新します。なお、実況風速を得る風速計として、規制用風速計のほか、アメダス
など部外の風速計も利用可能です。

 6箇所の検証用風速計(図2 上)で得た強風事例14 例で検証した結果、事例期間内の10 分毎
の最大瞬間風速を概ね5m/s 以下の誤差で評価できることを確認しました(図2 下)。

 この風速マップは、規制用風速計が未配備の区間の強風監視や運転規制の判断に活用できます。