シミュレーションを用いた分岐器構造の評価手法

1.はじめに

新しい分岐器の構造を提案するためには、走行安全性と部材強度の評価を実施する必要があります。これらは、分岐器をFEMソリッド要素でモデル化し、車両走行解析を実施することにより同時に評価することが可能です。ただし、計算負荷が大きく、構造を再検討する際はモデルを再構築する必要があり非効率です。そこで、走行安全性と部材強度の評価を分けて実施する評価方法を開発しました。

2.評価方法

走行安全性は、分岐器の線形や支持条件を考慮した簡略軌道モデルを用いて走行シミュレーションを実施して評価します。また、分岐器の線形を決める条件を入力するだけで、解析モデルを自動で作成することが可能です。
部材強度は、評価対象の分岐器の部材をFEMソリッド要素でモデル化した詳細モデルを用いて、走行シミュレーションで得られた輪重と横圧を外力として静的応力解析を実施して評価します。

3.用途

• 新しい分岐器構造の走行安全性および部材強度の評価を実施できます。
• 分岐器における脱線要因の検討や、その対策の検討に活用できます。

参考文献

  1. 清水紗希,及川祐也,塩田勝利, 「分岐器における走行安全性および軌道部材強度の評価方法」, 鉄道総研報告, Vol.33, No.2, 2019