金属系新材料の研究開発(現在の取り組み)

高速鉄道をさらに省エネルギー化するためには、車両構体の軽量化が必要になります。現在の高速鉄道車両構体にはアルミニウム合金が適用されており、さらなる車両の軽量化を目標としてナノアルミニウム合金と難燃性マグネシウム合金の適用を検討しています。

1.現在の取り組み

現在、車両軽量化のための軽量金属材料の研究として、ナノアルミニウム合金と難燃性マグネシウム合金の鉄道車両構体への適用について研究を進めています。

2.概要

高速鉄道車両をさらに省エネルギー化するためには、車両構体の軽量化が必要になります。現在の高速鉄道車両の構体にはアルミニウム合金が適用されています。このようなアルミニウム合金の車両構体をさらに軽量化するためには、現状で使用されているアルミニウム合金の高性能化、アルミニウム合金よりも軽いマグネシウム合金の適用が考えられます。そこで本研究では、アルミニウム合金の高性能化では、金属組織をナノレベルで制御したナノアルミニウム合金、マグネシウム合金の適用では、燃えにくい難燃性マグネシウム合金を開発しています。また、それらの車両構体への適用を目的として、機械的性質や溶接・接合手法について評価を行っています。

3.アルミニウム合金の高性能化

アルミニウム合金は高い比強度を示し、加工しやすいために、軽量金属材料の代表的な金属材料として昔からあらゆる分野に適用されています。アルミニウム合金は、高速鉄道の車両構体にも適用されており、さらに軽量化するには、高強度化と薄肉化が必要になります。また、高強度化と薄肉化を進めると他の特性が低下します。そこで本研究では、アルミニウム合金の高強度化と薄肉化に加え、他の特性の向上が可能な金属組織に認められる析出物を制御する「ナノ組織制御」を提案しました(図1)。ナノ組織制御手法により制御したアルミニウム合金は析出物が微細化し、その効果により、高強度化するとともに接合性や耐食性が向上することを確認しています(図2)。

図1 ナノ組織制御手法の例と金属組織観察の例
図2 ナノ組織制御による特性改善の例

4.難燃性マグネシウム合金の開発

マグネシウムはアルミニウムの約2/3の比重でアルミニウム合金よりも軽い材料であり、その適用により軽量化が行えると考えられます。しかし、マグネシウムは発火性がある他に、加工しにくく、溶接も行いにくい金属材料です。そこで、発火性を抑え、強度を有し、加工、溶接しやすいような材料を作成することを目的として、マグネシウムにカルシウム、アルミニウム、亜鉛を加えた難燃性マグネシウム合金を試作しました。難燃性を調べた結果、カルシウムを添加することによって、発火性が抑えられ、アルミニウム合金と同程度の強度になることを確認しました(図3)。また、難燃性マグネシウム合金は、アーク溶接及び摩擦攪拌接合(FSW)も可能であり、溶接・接合部の強度はFSWの方がアーク溶接よりも高く、FSWの適用が有効であることを明らかにしました。

図3 発火燃焼試験の状況
(Mg-6Al-Zn合金は一般材、Mg-6Al-Zn-Ca合金は試作した難燃性マグネシウム合金、Al(6N01) は比較に用いたアルミニウム合金)

5.今後の予定

ナノアルミニウム合金及び難燃性マグネシウム合金を車両構体に適用するためには、衝撃性、疲労特性並びに振動性について評価が必要になり、これらの諸特性について調査を進める予定です。

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