コンクリートのひび割れに及ぼす骨材種の影響

骨材の品質や骨材種に起因した乾燥収縮ひずみによるコンクリートのひび割れが問題となっています。そこで、コンクリートのひび割れ発生状況と使用骨材との関係を調査し、その物理化学的性質と乾燥収縮ひずみとの相関を検討しました。特に、従来は石灰石骨材とそれ以外の骨材という乾燥収縮量が極端に異なる骨材間の相関から物理化学的性質と乾燥収縮ひずみとの関係が論じられてきました。本研究では石灰石以外の骨材における乾燥収縮量の相違に着目し、その中で各物理化学的性質と乾燥収縮ひずみとの相関を検討しました。

その結果、粗骨材はそのヤング係数、細骨材は吸水率と粘土塊量が、乾燥収縮量と相関があることを見いだしました。特に粘土塊量は乾燥収縮ひずみに対して、今まで着目されなかった性質です。

図1は、粘土塊量の多い試料に対する対策案として、骨材を水洗して粘土塊量の低減を図り、それが乾燥収縮ひずみに与える効果を検討した結果です。粘土塊量が多い骨材では骨材を水洗することで、100μ程度の収縮ひずみ量が抑制されることを明らかにしました。

参考文献

  1. 鶴田孝司、上原元樹、水野清、佐藤隆恒:骨材の物理・化学的性質がコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響、土木学会年次学術講演会講演概要集、Vol.67、No.5、pp.967-968、2012