バラスト軌道の沈下・流動解析モデル「DEMCS-track」

3次元個別要素法によるシミュレーション

離散体シミュレーションの課題

離散体シミュレーション手法の開発により、バラスト軌道特有の局所的沈下や流動現象を再現することが可能となりました。
その一方、計算負荷が高く計算に時間がかかること、また定量的精度が低いため定性的評価にのみ用いられる、という課題がありました。

計算速度の向上

解析プログラムを並列化し、鉄道総研で所有するスーパーコンピュータ「究2」を用いたところ、計算速度は従来の約9倍となりました。

定量的精度の向上

バラスト砕石のモデルの稜角に、粒径の小さい球(Asperity要素)を付加し、実際のバラスト砕石の角張った形状に近づけました。
その結果、再現シミュレーションにおける沈下進みが、実測結果の平均値±σ(標準偏差)の範囲内となり、定量的精度が向上しました。

活用範囲の拡大

近年では、タンピング作業(バラスト層に振動を与えて締固める作業)を離散体シミュレーションで再現することで、最適な軌道こう上量(レール~まくらぎの上昇量)やタンピング手法に関する検証を行っています。

道床更換作業の再現シミュレーション

※上記の動画は 外部の動画サイトの埋め込みリンク です。

参考文献

  1. 河野昭子:バラスト軌道のマイクロメカニクスに着目した解析手法の改良、鉄道総研報告、第36巻、第7号、pp.69-74、2022

※本研究の一部は筑波大学との共同研究で実施しました。