騒音低減対策のための高解像度音源探査手法

■独自設計の新たな二次元スパイラルアレイ装置と移動音源に対応した最新の信号処理法の導入により、車両まわりの
 音源分布の空間解像度を約9倍向上しました。
■車輪スケール程度の空間分解能で音源分布を可視化できるため、台車部やパンタグラフ等の音源の詳細な把握や騒音
 低減対策効果の検証に活用できます。

新幹線の速度向上に伴って増大する沿線騒音の低減を検討する際には、車両まわりに分布する音源を詳細に把握することが必要です。そこで、鉄道沿線における音源分布測定に適した独自設計のマイク配列を有する可搬式の二次元スパイラルアレイ装置を製作しました(図1)。本アレイ装置は、台車部を対象とした場合、各軸の車輪付近の音源を分離可能な空間分解能を持ってます。また、この装置によって収録したデータを汎用の信号処理プログラムで解析できるように変換しデータベース化する手法を導入しました。これにより、幾何学的なマイク配列に起因する音源のぼやけを除去できるデコンボリューション法を適用して、高解像度の移動音源探査を行えるようになりました。これは国内の鉄道分野では初めての試みです。その結果、従来の信号処理法である遅延和演算法の場合に比べて、音源分布の空間分解能が約9倍(レール方向約3倍、鉛直方向約3倍)に向上し、高速走行する新幹線車両における台車部各軸の車輪付近や車両間隙部の音源が明瞭になるなど、車両まわりの音源を詳細に把握することができるようになりました(図2)。

これにより、把握された台車部やパンタグラフ等の音源に対する騒音低減策の検討や低減効果の実証が可能となります。

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