意思決定スキル評価に向けた意思決定課題の開発

•鉄道の事故分析データより得られた意思決定エラー(判断ミス)情報から、ミスが頻出する作業場面や心理傾向を抽出し、その場面を模擬した意思決定課題、心理傾向を測定できる意思決定課題をそれぞれ開発しました。
•これらの課題実施中に、意思決定に関わる領域が活性化することを確認しました。

1.はじめに

鉄道の作業現場では意思決定エラー(判断ミス)が事故の原因となることがあります。このエラーを防止するためには、個々人の判断の傾向を把握した上で評価し、教育訓練を実施することが必要です。ただし、判断の傾向を実際の作業の中で把握することは難しいことから、パソコン上でその傾向が確認できる作業課題を開発しました。さらに、機能的核磁気共鳴断層画像法(functional Magnetic Resonance Imaging 以降、fMRI)を用いて、開発した作業課題を行うと判断に関連する脳領域が活性化することを確認しました。

2.事故分析データによる要因抽出

鉄道の事故分析データから得られた278件の判断ミスの事例を分析し、判断ミスが発生した作業場面と判断の傾向をそれぞれ検討した結果、確認に関わる作業場面が全体の60%以上を占めること、また、70%以上の事例で近視眼的な判断をする傾向があることが判りました。

3.意思決定課題の開発

判断ミスにみられるこれらの特徴に着目して、作業後に確認を省略するかどうかの判断が求められる場面を再現した作業課題(図1)と、短期的メリットと長期的メリット(すぐに分かるメリットと徐々に理解できるメリット)を考慮に入れて判断を下す作業課題を開発しました。

4.fMRIによる脳活動の測定

図1は確認場面を再現した作業課題で、特定の文字が複数あるかをチェックする場面と、チェックした結果を再確認するかを求められる場面から構成されます。この作業課題を実施中の脳活動を測定したところ、判断に関わる脳領域(島皮質)が活性化していました(図2)。この結果は本課題の内容と対応しており、判断を再現した作業課題として適切であることが明らかになりました。

図1.確認場面を模擬した意思決定課題
図2.課題実施中の脳機能画像

参考文献

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