早期地震警報の高度化に関する研究

早期地震警報の高精度化、高速化のため、新しい地震諸元(震央距離、震央方位、マグニチュード)推定手法を開発しました。

現行の早期地震防災システムでは、主に地震動の初期微動1~2秒間分のデータに基づき地震諸元を推定し、運転制御の判断を行っています。より早く・正確に警報を出すために、鉄道総研では地震諸元推定アルゴリズムの開発、改良を行なっています。

新しい震央距離推定手法として、P波初動の上下動加速度データに1次関数をフィッティングさせ、その傾きから震央距離を推定する手法(C-Δ法、図1)を開発しました。また、新しい震央方位推定手法としてP波変位波形の最初の半波長分のデータ(可変長データ)に対して主成分分析を行なう手法(可変ウィンドウ法、図2)を開発しました。新しい手法を用いることで、震央距離の推定に必要なデータ長は従来の2秒から0.5秒に短縮され、震央方位についても従来の1.1秒から平均64%に短縮されます。さらに、それぞれの推定精度が向上することもわかっています。また、システムの信頼性向上を目指したノイズ識別手法の開発も行なっており、これらの新たなアルゴリズムを実装したプロトタイプ地震計を開発し、稼働試験を実施しています(図3)。

上記以外にも、巨大地震でも飽和しないマグニチュード推定方法(図4a)や、最大振幅値の到達前にマグニチュードを決定する手法(図4b)の開発を行ない、実用化に向けた検討を進めています。

図1 新しい震源距離推定手法:C-Δ法
図2 新しい震央距離推定手法:可変ウィンドウ法
図3 新しい地震諸元推定アルゴリズムを実装したプロトタイプ地震計
図4 提案されたM推定手法の適用例:a) 2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0); b) 2016年熊本地震(M7.3)

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参考文献

  1. Noda, S., S. Yamamoto, S. Sato, N. Iwata, M. Korenaga, and K. Ashiya, "Improvement of back-azimuth estimation in real-time by using a single station record," Earth Planets Space, Vol.64, pp.305-308, 2012
  2. 岩田直泰・山本俊六・野田俊太・是永将宏:早期地震警報に向けた地震諸元推定とノイズ識別のアルゴリズム開発,土木学会論文集A1(構造・地震工学),Vol.72,No.1,pp.133-147,2016
  3. Noda, S., S. Yamamoto, and W. L. Ellsworth, "Rapid estimation of earthquake magnitude from the arrival time of the peak high-frequency amplitude," Bulletin of the Seismological Society of America, Vol.106, No.1, pp.232-241, 2016
  4. Noda, S., and W. L. Ellsworth, "Determination of earthquake magnitude for early warning from the time dependence of P-wave amplitudes," Bulletin of the Seismological Society of America, Vol.107, No.4, pp.1860-1867, 2017
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