第290回 鉄道総研月例発表会

日時 2015年06月15日(月) 13:30〜16:55
場所 ベルサール神保町 3F Room 3+4+5
主題 信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

13:30~13:45
信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

鉄道総研では、列車の運行に関して、輸送計画の意思決定支援、運行管理に関するアルゴリズムや評価手法から、信号通信設備・システムに関する技術開発まで、広範な研究開発を行っている。本発表では、旅客の移動円滑の評価手法、経営的・社会的側面も考慮した輸送計画の評価手法、列車運行の安全をさらに向上させる知能列車など、最近の研究成果について概観する。さらに、情報技術を活用した高度な列車運行システム、踏切の安全向上など、今後に向けた研究開発の方向性について紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 部長  平栗 滋人

13:45~14:10
車上主体型進路制御による列車制御システムの開発

地方交通線への適用を目的として、低コストな列車制御システムを開発している.このシステムでは、次駅までの区間を1列車に占有させた上で、進路制御を行うことで論理の単純化を行い、車上装置が主体的に進路制御する構成としている。進路制御を車上で主体的に行うため、駅ごとの軌道回路、連動装置等の設備削減が可能となり、初期コスト、保守コストの削減が期待できる。本システムの構成及び具体的な機能について報告する。また、本システムに適用可能な低コストな地点検知方式とその性能についても併せて紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 列車制御研究室 副主任研究員  北野 隆康

14:10~14:35
列車制御用車上データベースの無線通信による更新技術

近年、地上設備位置や車両性能を車上データベースとして登録し、列車制御に活用する運転保安システムが開発、導入されている。現状、当該データ更新は、CFカード等の記録媒体を用い、装置単体で行われているため、多大な時間と労力を要している。そこで、更新時の省力化を目的として、無線通信を活用したデータ更新技術を開発し、プロトタイプを用いた検証試験を行った。本発表では、データベース更新時の正当性の確認手法、セキュリティ手法とともに、プロトタイプによる検証試験結果について紹介する。

発表者
号・情報技術研究部 信号システム研究室 副主任研究員  藤田 浩由

14:35~15:00
帰線回路設計のためのレール電流分布の解析手法

駅構内における帰線回路の構成、つまり軌道回路中性点相互の接続関係、クロスボンドやジャンパ線の配置は、インピーダンスボンドの磁気飽和やレール絶縁に大きな影響を与えるが、その配置法についてはこれまで経験的にしか行われてこなかった。そこで、帰線回路の構成を検討するための電流分布の計算手法について提案し、実測データとの比較によりその有効性を確認したので報告する。

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 主任研究員  寺田 夏樹

15:00~15:15
休 憩

15:15~15:40
90GHz帯ミリ波を用いた線路内障害物の監視システム

90GHz帯のミリ波は、他のミリ波帯の電波に比べて大気中の減衰が小さく、優れた伝搬特性と広い帯域利用特性を備えているが、これまで鉄道において活用された事例はない。そこで、新たに提案する90GHz帯ミリ波と光ファイバ無線(Radio over Fiber:RoF)技術を組み合わせた線路内障害物の監視システムについて、その構成例や許容検出時間等の所要要件の基礎検討結果等を報告する。さらに、試作したレーダ装置を用いて行った鉄道環境における障害物検出実験の例を紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 ネットワーク・通信研究室 主任研究員  中村 一城

15:40~16:05
貨物駅における荷役機器の稼働台数の評価手法

貨物駅構内のフォークリフトをはじめとした荷役機器の作業について、コンテナ荷役機器作業のシミュレーターを開発し、荷役機器台数の変化や、季節や時間帯による取扱荷物量の変動が駅構内の荷役作業へ与える影響について検討を行った。本発表では、貨物駅構内のモデル化を含めたシミュレーターの概要を述べた後、シミュレーション結果に基づいた荷役機器の稼働台数の評価手法について紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 研究員  田中 峻一

16:05~16:30
運転再開時における旅客の列車選択行動モデル

輸送障害発生後、支障が解除となった際、運転再開時における旅客の列車選択行動は複雑になるので、旅客流動を精緻に把握した運転整理が求められる。そこで、運転再開時における列車選択行動モデルの構築に向けて、場面想定法によるWebアンケートを利用し、仮想的な輸送障害シナリオを前提として与え、その際の列車選択行動を調査した。本発表では、アンケート調査内容及びその分析結果、構築したモデルについて紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 副主任研究員  渡辺 義大

16:30~16:55
優等列車の席種設定の最適化に向けた需要特性分析

優等列車においては、指定席・自由席の設定が旅客ニーズと合致せず、混雑による利便性低下や事業者の収入逸失を招くケースがある。この席種設定を旅客ニーズに合わせて最適化するには、席種別の需要推計モデルを、潜在的な需要も考慮して構築することが必要である。そこで、旅客の席種選択の実態と要因、価格や混雑による選択行動の変化など、優等列車の需要特性について調査を実施した。本発表ではその結果について紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 交通計画研究室 副主任研究員  中川 伸吾

司会:深澤 紀子 (信号・情報技術研究部 交通計画研究室 室長)

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