第328回 鉄道総研月例発表会

日時 2019年03月20日(水) 13:30〜16:55
場所 東京 日本工業俱楽部 大会堂
主題 沿線環境に関する最近の研究開発 

プログラムと発表内容

(関係研究部 環境工学研究部

13:30~13:45
沿線環境に関する最近の研究開発

鉄道車両の走行に伴って生じる騒音,低周波音,トンネル微気圧波,地盤振動などは,沿線に環境問題を引き起こす場合がある。鉄道の速度向上や輸送力の増強を図る場合には,沿線環境に対する負荷を緩和・低減し,環境に優しい快適な鉄道の実現をはかることが重要である。ここでは、これらの課題に対する鉄道総研における最近の取り組みを紹介する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.11 「沿線環境に関わる最近の研究開発」
 RRR Vol.75 No.7 「環境と調和した鉄道をめざして」

発表者
環境工学研究部 部長 長倉 清

13:45~14:10
住宅群による減衰の影響を考慮した鉄道騒音の評価

鉄道沿線の住宅群において評価される騒音には建物壁面による音の多重反射や建物の遮へいによる影響が含まれるため、この影響を考慮した適切な騒音予測法を構築することが必要である。そこで、新幹線鉄道、在来鉄道沿線において、住宅群内に設定した各測定点での騒音を測定した。また、鉄道騒音予測法と道路交通騒音予測モデルを組み合わせたモデルを用いて、住宅群内における騒音予測を行った。その結果,道路交通騒音予測モデルの適用範囲内では概ね適切に騒音予測ができることが分かったので報告する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.11 「鉄道騒音の伝播過程における住宅群による減衰の影響」

発表者
環境工学研究部 騒音解析研究室 研究員 澤村 陽一

14:10~14:35
曲線区間における高周波音の特性

鉄道の一部の曲線区間において,10kHz以上の周波数成分の音(高周波音)が沿線騒音全体に対して大きな寄与を占める場合がある。そこで,高周波音の現象解明を目的に,在来線において現地試験を実施した。その結果,12.5kHzバンド以上の周波数域におけるレール振動は,10kHzバンド以下の振動に比べてより遠方まで伝わる傾向にあること,列車通過中の主要な音源は外軌上の車輪であることを明らかにしたので本発表で報告する。
 鉄道総研報告 Vol.29 No.5 「曲線区間で発生する10kHzを超える高周波音の現象解明」

発表者
環境工学研究部 騒音解析研究室 副主任研究員 川口 二俊

14:35~15:00
車両下部空力音の音源別寄与度の評価と低減対策の開発

新幹線から発生する騒音については、300 km/h以上の高速域で走行する場合に車両下部空力音の影響が大きくなるとの試算が得られている。そこで、風洞試験により台車構成機器等が車両下部空力音に与える影響ならびに車両下部空力音に対する低減対策について検討を行った。その結果、車両下部空力音全体に対して車輪のほか、主電動機などの台車構成機器や台車キャビティの寄与が大きいこと、台車キャビティ端部における跳上材や台車部下部におけるカバーの設置が騒音低減に有効であると分かったので、本発表で報告する。
 鉄道総研報告 Vol.29 No.5 「風洞試験を用いた新幹線車両下部から発生する空力音の評価手法」
 鉄道総研報告 Vol.32 No.11 「新幹線の台車構成機器が車両下部空力音に及ぼす影響」

発表者
環境工学研究部 騒音解析研究室 主任研究員 山崎 展博

15:00~15:15
休 憩

15:15~15:40
編成長を考慮した流線形車両の明かり区間通過時圧力変動解析

高速列車の通過時圧力変動は、地上構造物や作業員に影響する。従来の研究では、長編成列車の先頭部と後尾部通過時に形成される圧力変動をそれぞれ独立の事象として個別に解析してきた。しかし、短編成列車の場合には、これらの影響が重畳する。本研究では、短編成列車の通過時圧力変動に関して模型実験と理論解析を行った。これらの結果から、通過時圧力変動の負のピークに関して、重畳の影響が無視できないこと、通過時圧力変動波形の0点間距離が列車編成長と必ずしも一致しないことが明らかになったので報告する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.11 「編成長を考慮した流線形車両の明かり区間通過時圧力変動解析」

発表者
環境工学研究部 熱・空気流動研究室 主任研究員 宮地 徳蔵

15:40~16:05
新幹線車両側面の窓および引戸の凹部による空気抵抗の評価

最近の新幹線車両では平滑化が大幅に進んでおり、さらなる空気抵抗低減のためには、これまでは着目されなかった車両表面の細かな凹凸が車両の空気抵抗に及ぼす影響を評価する必要がある。そこで、車両側面の窓および引戸の実物大の部分模型を用いて風洞試験による空気抵抗測定を行った。その測定結果に基づく試算例として、中間車1両で窓および引戸の凹部の段差を全て解消して車両側面を平滑化すれば、中間車1両あたりの空気抵抗を2.6%低減可能であることが示されたので、本発表で報告する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.11 「新幹線車両側面の窓および引戸の凹部による空気抵抗」

発表者
環境工学研究部 車両空力特性研究室 主任研究員(上級) 佐久間 豊

16:05~16:30
横風による空気力に対する車両床下機器の影響評価

これまで車両の屋根形状が横風下の車両に働く空気力に及ぼす影響は風洞試験により調べられているが、車両に働く空気力に対する床下機器の定量的な評価は行われてこなかった。そこで、大型低騒音風洞において乱流境界層下で車両模型に働く空気力を測定し、横風下で床下機器の有無が車両の空気力に与える影響を調べた。その結果,車両に働く空気力のうち車両転覆に影響の大きい横力は、床下機器設置に伴う車両投影面積の増加率とおおむね同程度に増大することが分かった。本発表ではその結果について報告する。
 鉄道総研報告 Vol.27 No.1 「在来線車両の空気力係数に関する風洞試験結果」

発表者
環境工学研究部 車両空力特性研究室 研究員 野口 雄平

16:30~16:55
トンネル内圧力変動による設備への作用荷重推定法

列車がトンネル内を走行すると列車風や圧力変動が発生し、トンネル内に設置された機器類に変動荷重が作用するため、固定強度が不十分な場合には飛散の恐れがある。従来は、荷重が同時に一様に負荷されると仮定していたが、近年、列車速度の向上に伴って発生荷重は増大傾向にあり、より精度良く推定することが望まれている。そこで、圧力変動の位相差などを考慮することで、従来手法より精度良く推定する計算手法を考案した。この手法によって、固定強度などの設計の適正化を図ることが可能となったので報告する。
 RRR Vol.75 No.1 「トンネル内の圧力変動を予測して設備や車両の設計に役立てる」

発表者
環境工学研究部 熱・空気流動研究室 室長 斉藤 実俊


関係研究部

環境工学研究部