第30回 鉄道総研講演会
鉄道の安全性を高める防災技術
—自然外力の急変を捉え備える—
日 時:2017年11月8日(水) 13:00〜17:25
場 所:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階)
主 催:公益財団法人鉄道総合技術研究所
※入場無料 受付は12:00から開始いたします。
※開催終了しました。多数のご来場、誠にありがとうございました。
ごあいさつ
公益財団法人鉄道総合技術研究所では、社会および鉄道の持続的発展に寄与すべく、鉄道の安全性・信頼性の向上をはじめとする研究開発と情報発信を続けております。これらの活動は、国、JR各社をはじめとする鉄道事業者、鉄道関係企業、ならびに多くの関係者の皆さま方からのご支援の賜物であり、深く感謝申し上げます。
さて、最近、巨大地震や過去に例を見ない局所的強雨などにより、自然災害の大規模な被害が顕著です。鉄道においても大規模な自然災害に対する安全性を高めるための対応が求められています。一方、これらの自然外力の変化について、全国的な地震観測網の整備や新しい地震早期検知手法の導入、また、気象観測機器の高性能化や気象予測手法の精度向上により、短時間に高精度で把握・推定することが可能となりつつあります。
そこで鉄道総研講演会では、「鉄道の安全性を高める防災技術 -自然外力の急変を捉え備える-」をテーマに開催いたします。京都大学防災研究所教授中北英一様から「最新型気象レーダーによる豪雨の観測と早期探知・予測 -鉄道の安全運行に向けて-」と題した特別講演を頂きます。その後、防災技術に焦点を当て、気象及び地震情報の活用による災害対策や安全性向上等について鉄道総研の研究開発の考え方、方向などを基調講演にて、また具体的な研究開発の取り組みを講演にてご紹介いたします。
また、今回から午後のみの開催といたしました。ご多忙の折と知りつつ、多数のご来場を心よりお待ち申し上げます。
理事長 熊谷 則道
プログラムと講演概要
13:00~13:10 開会の挨拶
会長 正田 英介
13:10~14:10 特別講演
最新型気象レーダーによる豪雨の観測と早期探知・予測 -鉄道の安全運行に向けて-
京都大学防災研究所教授 中北 英一
豪雨成因や形態と災害の種類との関係を俯瞰するとともに、最新の気象レーダーでどのように豪雨が捉えられるか、観測精度がどのように向上しているか、豪雨の早期探知や予測がどのようになされるかを紹介する。また、雨量計による点雨量を基準に鉄道の安全運行がなされてきている中、面的あるいは線状に細かく捉えることができる気象レーダーによる降雨情報をどのように活かすべきかを考える。
14:10~14:40 基調講演
自然外力の急変を捉え備える防災技術
理事 芦谷 公稔
近年、記録的な局所的短時間強雨、強風及び大地震が頻発する傾向にあり、鉄道の安全性をさらに高めるための防災技術が求められている。これに対して、気象レーダーや海底地震計などの最先端の観測網やシミュレーション技術を活用して、リアルタイムにハザードを予測し、運転規制に活用する技術、また、被害の最小化や復旧の早期化など鉄道施設の強靭化を図る技術について紹介する。さらに、自然外力の急変を捉え備える防災技術の考え方、方向を述べる。
14:55~15:20 地震防災のためのリアルタイム地震情報の活用
鉄道地震工学研究センター 地震解析研究室長 山本 俊六
鉄道では、ハザードの急変に対処するため地震情報をリアルタイムに活用した運転規制が行われている。また、さらなる安全性向上を目指して新たな地震情報や処理技術の利用が計画されている。そこで、新アルゴリズムによる早期警報用地震計、海底地震計データを活用し
た早期地震警報、鉄道用地震情報公開システムを紹介する。さらに、これらを用いた地震防災のための総合的な取り組みについて述べる。
15:20~15:45 鉄道構造物の災害対策と早期復旧
構造物技術研究部長 神田 政幸
近年頻発する巨大地震や局所的豪雨において、鉄道構造物は被害を受け、鉄道運行に支障を及ぼしたものの、比較的早期に復旧されている。そこで、過去の地震や降雨による鉄道構造物の被害から得られた知見を総括するとともに、鉄道総研が取り組んできた鉄道構造物の災害対策、災害発生時のモニタリング技術や、技術支援した復旧例を紹介する。さらに、危機耐性の更なる向上のための防災・減災技術、早期復旧技術の今後の取り組みについて述べる。
15:45~16:10 強風・地震に対する車両の走行安全性向上
鉄道力学研究部長 曽我部 正道
車両の走行安全性に影響を及ぼす強風・地震について、実車両の走行でその影響を再現するのは困難である。そこで、高度なシミュレーションや実験等により被害状況を評価・再現する手法を構築するとともに、これを活用した被害低減手法を紹介する。さらに、数値解析の精緻化やリスク評価といった走行安全性の向上策について述べる。
16:10~16:25 — 休 憩 —
16:25~16:50 短時間に強く降る雨による土砂災害を防ぐ
防災技術研究部長 太田 直之
近年、短時間に強く降る雨の増加傾向が顕在化しており、これによる土砂災害の大規模化が懸念されている。大規模土砂災害に対しては、広範囲にわたる斜面の降雨耐力を評価することが重要である。そこで、強雨に特有な斜面崩壊メカニズムを解説するとともに、広域を対象とした斜面崩壊危険度評価システムについて紹介する。さらに、強雨による土砂災害に対して鉄道の安全性を高めるために必要と考えられる技術開発について述べる。
16:50~17:15 リアルタイムハザードマップの構築
研究開発推進部 主管研究員 鈴木 浩明
豪雨や強風などに起因する被害を最小限に抑えるには、急変する気象現象を高速・高精度で観測し、鉄道への影響を即座に推定できるシステムの開発が必要である。そこで、河川の氾濫や浸水、突風の発生を予測し、鉄道に及ぼす影響をリアルタイムで判断できるハザードマップの構築に向けた研究開発について紹介する。さらに、運転規制や旅客の避難・誘導等を支援する研究を含め、実用化に向けた課題とシステムの全体イメージについて述べる。
17:15~17:25 閉会の挨拶
理事長 熊谷 則道
司会 専務理事 高井 秀之
会場
お申込み
事前申込みは終了しましたが、会場にて当日の受付もございます。
お問い合わせ
公益財団法人鉄道総合技術研究所 鉄道総研講演会事務局
TEL:(NTT)042-573-5438 (JR)053-7384