第31回 鉄道総研講演会

鉄道の安全・安心を創る
—ICTによる新たなシステム—

日 時:2018年11月7日(水) 13:00〜17:20
場 所:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階)
主 催:公益財団法人鉄道総合技術研究所

※開催終了しました。多数のご来場、誠にありがとうございました。

ごあいさつ

公益財団法人鉄道総合技術研究所では、鉄道の持続的発展に寄与すべく、鉄道の安全性・信頼性の向上をはじめとする研究開発と情報発信を続けております。これらの活動にあたり、国、JR各社をはじめとする鉄道事業者、鉄道関係企業、ならびに多くの関係者の皆さま方からのご理解を頂き、深く感謝申し上げます。

輸送の安全・安心は鉄道事業において最重要課題であり、鉄道総研は事故や災害の最小化に向けて技術開発に取り組んできました。近年、モニタリング、センシング、大容量通信などを要素技術とするICTが飛躍的に発展し、これらを活用した新たなシステムが従来の課題を克服するとともに、新しい価値を生み出す可能性があります。

そこで本講演会では、「鉄道の安全・安心を創る -ICTによる新たなシステム-」をテーマとして、鉄道の安全の維持向上を目標とする研究開発の方向についてご紹介いたします。産業技術総合研究所村川正宏様から「AIでインフラの異常を見つける」と題した特別講演を頂きます。続いて、列車運行の安全性向上、列車運行の自動化等、ICTの導入とその効果について、研究開発の考え方などを基調講演にて、また具体的な研究開発の取り組みを講演にてご紹介いたします。

また、今回は講演会の中では初めてディスカッションパートを企画します。講演者に加え、聴講者からのご意見をお聞きしながら、双方向性で安全・安心についての課題と取り組みの認識を共有することを目的とします。ご多忙の折と知りつつ、多数のご来場を心よりお待ち申し上げます。

会長 正田 英介
理事長 熊谷 則道

プログラムと講演概要

13:00~13:10 開会の挨拶

会長  正田 英介


13:10~14:10 特別講演  AIでインフラの異常を見つける

産業技術総合研究所 人工知能研究戦略部 総括企画主幹 村川 正宏

各種センサで計測された正常データを機械学習することで、正常パターンからの逸脱として異常を検知することができる。本講演では、この技術の概要を説明するとともにインフラ診断への応用事例として、打音解析によるコンクリート構造物の損傷検知や、振動データからの風力発電の故障予兆検知を紹介する。またこの技術の社会実装に向けて解決すべき課題についても述べる。


14:10~14:40 基調講演  ICTで創る安全・安心のための新たなシステム

理事 久保 俊一

安全・安心は鉄道事業において常に最重点課題であり、鉄道総研は技術開発によって事故や災害の最小化に向けて取り組んできた。近年、モニタリング、ネットワーク、AIなどを要素技術とするICTが飛躍的に発展し、それを活用した新たなシステムが従来の課題を克服するとともに、今までにない価値を生み出しつつある。本講演では、鉄道の安全・安心を創造するために、鉄道総研が重点実施項目として進めているICTを活用した研究開発の現状と将来に向けた方向を述べる。


14:40~14:50  — 休 憩 —


14:50~16:20 講演

列車運行制御の自律化がもたらす安全性の向上

信号・情報技術研究部長 川﨑 邦弘

最新のICTの活用により、従来は実現が困難であった線路内の支障物の自動検知や運転パターンの自動生成が可能となれば、運転に係る負担が軽減でき、更なる安全性の向上が期待できる。画像による支障物検知やAIを用いた列車運行予測、列車・設備の位置情報の一元管理など、運行の自動化に資する技術の開発状況を紹介する。さらに、情報ネットワークの将来像を描き、地上設備に出来るだけ依存しない自律型列車運行システムの考え方と研究開発の方向を述べる。


ヒューマンエラーを防ぐ人間科学研究への計測技術の活用

人間科学研究部長 小美濃 幸司

鉄道の安全・安定輸送のためにはヒューマンエラー防止は重要な課題であり、個人の努力だけでなく組織的な対応が必要である。こうした観点から、ヒューマンファクター研究として、人の特性に基づきエラーを減らす対策、エラーを事故につなげない支援システムの提案を目指しており、これまでの成果としてエラーの背景要因分析方法や教育訓練などについて紹介する。さらに、生体計測技術の発展を背景に今後進展が期待される生理指標を活用した運転支援の研究開発の方向を述べる。


リアルタイムハザードマップを活用した防災システム

防災技術研究部長 太田 直之

我が国が直面する喫緊の課題として、激甚化する気象災害や切迫する巨大地震などの自然災害への対応がある。この課題を解決するための技術開発へのICTの導入が期待されている。そこで、レーダーをはじめとする気象観測機器や海底地震計などの観測網から得られるデータを用いた最新のデータ処理技術と、これを利用したリアルタイムハザード分析技術について紹介する。さらに、列車位置、乗車人数、施設の状況などの情報を統合した防災システムの研究開発の方向を述べる。


持続可能な安全を実現するメンテナンスの高度化

軌道技術研究部長 村本 勝己

鉄道の安全・安定輸送を将来も維持していくためには、すでに顕在化しつつあるメンテナンス要員減少への対応が急務である。ICTの活用は、メンテナンスの省力化に向けた有効な手段として適用が進みつつあるが、異なる設備間の相互影響評価など、ICT活用をメンテナンスの高度化に繋げることで、抜本的なシステムチェンジへの可能性が広がる。本講演では、メンテナンスの高度化に向けたICT活用の取り組みの現状と将来に向けた方向を述べる。


16:20~16:30  — 休 憩 —


16:30~17:15 ディスカッション  ICTを活用して鉄道の安全・安心をどう高めるか

ファシリテータ 専務理事 渡辺 郁夫
パネリスト   特別講演者、基調講演者、講演者
ICTはそれ自体が目的ではなく、機能向上を実現するための強力なツールである。その強力なツールの目覚しい発展を受けて、今後、鉄道の安全・安心に対する新しい技術分野をどのように開拓できるか、その結果として鉄道システムがどのように変革するかを意見交換する。


17:15~17:20 閉会の挨拶

理事長  熊谷 則道