施設研究ニュース

2022年1月号

旅客上家と一体となった高架橋への地震力の設定法

1.はじめに

高架駅における,旅客上家(以下,「上家」)と高架橋が一体となった構造物(図1)は,上家と高架橋で設計や施工の実施時期が異なるために,上家と高架橋が別々に設計される場合が多いと考えられます.そのため,上家および高架橋それぞれの設計で用いる地震力の算出にあたっては,上家と高架橋の相互作用の影響をそれぞれ考慮する必要があります.具体的には,上家への地震力については,高架橋との共振(応答増幅)を考慮することが必要です1)

2.上家への地震力の性状

 ここではまず,高架橋上部の上家への地震力の性状について述べます.標準的と想定される上家と高架橋の一体構造物を設定し,骨組モデル(図2)を作成して,建築物の応答解析に一般的に用いられる地震動を入力とした解析を行いました.その結果,開放型,全覆型のいずれの型式においても,上家/高架橋での固有周期の比(以下,「固有周期比」)が1.0程度に近づくにつれて,上家の応答層せん断力係数(上家への地震力の最大値を,上家重量で除したもの)が増加する性状が明らかになりました(図3).したがって,上家への地震力の算出時には,高架橋との共振(増幅係数Ai)を考慮した地震力の設定方法を提案しています1)

3.高架橋への地震力の性状

 高架橋への地震力の算出においては,上部の上家の地震力を加算して算出する必要があります.現状では,2.で述べたような,共振を考慮した上家への地震力を,そのまま加算する場合が多いと考えられます.この場合,上家と高架橋で別々に算出した最大応答値同士を足し合わせることになるため,高架橋への地震力は過大となる可能性があります.そこで,上家が一体となった高架橋への地震力の実態を明らかにするために解析検討を行いました.解析は,上家と高架橋を単純化した2質点モデル(図4(a))により,上家/高架橋での質量の比(以下,「質量比」)と固有周期比を,現実的と考えられる範囲で網羅的に検討しました.また,入力地震動は,鉄道土木の現行耐震標準2)に定められる最大級の設計地震動(G3地盤を想定)としました.まず,基本的な性状の検討のため,上家と高架橋の特性を線形とした解析(線形解析)を行いました(図4(b)).解析結果より,上家の応答層せん断力係数については,2.に示した結果と同様に固有周期比1.0近傍で増加することがわかります.一方,高架橋の応答層せん断力係数(高架橋への地震力(上家から受ける地震力も含む)の最大値を,上家と高架橋の合計重量で除したもの)は,固有周期比1.0近傍でも増加しないことがわかります.これは,上家がTMD(付加質量による制振装置)に近い働きをしており,高架橋の応答加速度を低減する作用が生じるためです.また,この傾向は,上家や高架橋の特性を非線形とした解析(非線形解析)においても同様でした(図4(c)).以上の結果より,共振による上家への地震力の増加が,必ずしも高架橋への地震力の増加にはつながらないと言えます.

4.高架橋への地震力の設定法

 冒頭でも述べた通り,従来のホーム柵支持部の構造設計法は,乗換跨線橋指針が準用される等,事業者によって対応が様々で,統一されていませんでした.そこで,実際の使用環境等を 3.の解析結果に基づき,高架橋への地震力の算出においては,共振を考慮せずに上家への地震力を加算することを提案しました.この提案と現状のそれぞれの方法で算出した,高架橋の応答層せん断力係数の比較を図5に示します.図4(c)で示した解析結果と比較して,現状では,固有周期比が1.0に近い場合に地震力が過大に評価されていますが,提案では,安全側かつ実態に近い地震力を算出することができます.また,高架橋への地震力の算出手順のイメージを,現状と提案で比較して図6に示します.提案により,上家の増幅係数Ai(共振の程度)の算出・考慮が不要となることで,高架橋の設計としては提示された上家の質量のみを考慮すればよいことになり,扱いが非常に簡便となります.

5.おわりに

 上家と一体となった高架橋の地震力の算出において,共振を考慮せずに上家への地震力を加算してよいことを提案しました.なお,本検討は,高架橋全体系に対する地震力を対象としたものであり,上家柱脚等との接合部の設計においては,共振を考慮した地震力に対して設計する必要があります.

〈参考文献〉

1) 山田聖治ほか:高架橋上旅客上家の地震応答特性と耐震設計法の提案,鉄道総研報告,Vol.22,No.10,pp.23-28,2008.10
2) 鉄道総合技術研究所編集:鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計,2012

執筆者:構造物技術研究部 建築研究室 三木広志
担当者:構造物技術研究部 建築研究室 清水克将,石川大輔

列車巡視を省力化するための線路周辺画像解析エンジンの開発

1.はじめに

 軌道のメンテナンス業務の一つに,列車に添乗する従事員の目視によって,列車が安全に走行できる軌道状態であることを定期的に確認する列車巡視があります.しかしながら,近年の労働人口の減少や,COVID-19の流行による鉄道旅客需要の急激な変化に伴って,軌道を含む鉄道設備のメンテナンス業務に将来を見据えた大幅な効率化が求められています.
そこで,画像解析技術によって上記の列車巡視を省力化するための線路周辺画像解析エンジンを開発しました1).本エンジンは,図1に示すような列車前頭に設置したステレオカメラ等で取得した画像を解析することで,建築限界支障物の有無や沿線環境の変化を自動で把握することができます.本稿では,本エンジンが有する画像解析技術と機能の一部を紹介します.

2.線路周辺画像解析エンジンの機能 その1—建築限界支障物検知

 本エンジンでは,ステレオカメラで取得した2枚の画像間の視差情報や,カメラの位置・姿勢の推定結果から,撮影シーンの3次元情報(複数の画像フレームで共通して撮影される被写体の3次元形状や色の情報)を復元します.本研究においては,列車前頭で取得した画像を対象として,移動するカメラの位置・姿勢の変化量を精度良く推定するための自己位置推定技術を開発しました.これにより,GPSや慣性センサ等のデバイスを必要とせずに,高精度かつ広範囲な線路周辺の3次元情報を復元できます.
 そして,復元した線路周辺の3次元情報を利用して,建築限界等の枠内に存在する物体の有無を検知する機能を実現しました(図2).本エンジンでは,画像上の線形を推定して,建築限界等の枠を曲線に応じて湾曲させることで,線形を考慮した物体の検知ができます(図3).

 以上のような方法によって,従来は目視で確認している建築限界支障物の自動検知が可能となり,列車巡視業務を省力化できるほか,目視による支障物の見落としのリスクを減らすことができます.

3.線路周辺画像解析エンジンの機能 その2—2時期画像の差分検知

 本エンジンにおける差分検知とは,撮影時期が異なる2つの映像を比較して画像上の相違箇所を出力する技術です.線路沿線の環境変化や設備の変状,線路付近の異物の存在等を把握するのに役立ちます.
 このような差分検知の画像解析技術は,防犯カメラ等の固定カメラの映像に対しても用いられていますが,本エンジンでは,走行する列車上から移動を伴いながら撮影された映像を対象とします.したがって, 2つの映像間で撮影位置の対応付けをどれだけ上手く行ったとしても,シャッタータイミングの微妙なズレから全く同じ位置で撮影された画像同士を得ることはできないため,2枚の画像間でシーンの見映えがわずかに異なります.また,2時期間で天候や日照条件が変化することも想定されます.そこで,本エンジンでは,これらの影響によって生じ得る画像上の差分を過検知しないように,2枚の画像間での被写体の配置や輝度を近付ける補正をした上で差分を計算します.
 さらに,画像上の差分検知箇所を単純に出力するのでは,沿線を走行する自動車や,草木の揺らめき等のような,軌道のメンテナンス業務において不要な差分までもが出力結果に含まれることになります.そこで,ニューラルネットワークを用いた深層学習モデルにより,被写体種別に応じて画像を領域分割して,このような不要な差分を出力結果から除外する方法を開発しました(図4).

4.おわりに

 本稿では,列車前頭に設置したステレオカメラ等で取得した画像を対象とする解析技術によって,列車巡視を省力化するための線路周辺画像解析エンジンについて紹介しました.本エンジンのうち,建築限界支障物検知の機能に関しては,JR九州の列車巡視支援システムに導入され,同社主要線区の一部において実運用されています2).今後は,開発した画像解析技術を,巡視業務だけでなく軌道検査や工事・作業計画の策定支援まで適用対象を拡大して,軌道のメンテナンス業務の更なるデジタル化を目指します3)
本研究の一部は,国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました.

〈参考文献〉

1) 三和雅史,清水惇,昆野修平,川﨑恭平,猿木雄三:画像解析技術で線路の巡視を省力化する,RRR,Vol.78,No.8,pp.8-11,2021
2) 猿木雄三:列車巡視支援システムの導入,サイバネティクス,Vol.26,No.2,pp.26-30,2021
3) 昆野修平,箕浦慎太郎,三和雅史:列車前頭ステレオ画像を用いた軌道の維持管理業務のデジタル化,日本鉄道施設協会誌,Vol.59,No.12,pp.904-905,2021

執筆者:軌道技術研究部 軌道管理研究室 昆野修平
担当者:軌道技術研究部 軌道管理研究室 箕浦慎太郎,斉藤大樹

まくらぎに内蔵可能なレール転換装置の開発

1.はじめに

 分岐器のポイント部におけるトングレールの転換には,主に電気転てつ機が使用されています.電気転てつ機を設置しているポイント部では,転てつ棒やフロントロッドがまくらぎ間に設置されていることから,当該箇所におけるバラストの充填不足や突き固め不足が発生し軌道変位の発生を誘発しています.また,現状では基本レールとトングレールの隙間(以下,「レール間」と称します)は現地測定しており,結果次第では控え棒の長さを調整する必要があるため,これらの作業に多くの労力を要しています.そこで,本研究ではバラストの充填不足等の改善および分岐器の保守の更なる省力化を目標として新たなレール転換装置(以下,「転換装置」と称します)の開発を行っています.本稿では,2018~2020年度に実施した転換装置の開発結果について紹介します 1)

2.転換装置のコンセプト

 開発する転換装置のコンセプトは,①バラストの充填,突き固めを容易にするため,まくらぎ間に設置されている転てつ棒等を撤去し,まくらぎに内蔵可能であること,②レール間の隙間の検査・調整の省力化や通常時と異なる挙動を検知し異常発生前の対応を可能とするため,トングレールの位置と転換力の制御およびモニタリングが可能であること,③既設の電気転てつ機箇所へ適用が可能であり,設置・交換作業が容易であることとしました.

3.転換装置の製作と動作確認

3.1 転換装置の製作

 上記コンセプトをもとに新たな転換装置の検討を行ったところ,まくらぎという小さなスペースに設置可能であり,かつ現行の電気転てつ機と同等の転換力を確保できることから,油圧による転換方法を選定しました.図1に転換装置の構成を,図2に転換装置敷設前後のポイントの状況を示します.両図からまくらぎに凹部を設け,転換装置の一部をまくらぎ凹部に格納することで分岐器横のスペースが不要となり,また,まくらぎ間に設置する部材がないことがわかります.転換は転換装置に設置した変位計および圧力計をPLC(プログラマブルロジックコントローラ)制御により事前に設定した手順に沿って動作をさせることで可能としています.変位計はトングレールの位置を,圧力計はトングレールを転換させる際の圧力とロックを解除する際の圧力(以下,それぞれ「転換圧力」,「アンロック圧力」と称します)を測定しています.

図1 転換装置の構成

(a) NS形電気転てつ機

(b) 転換装置

図2 製作した転換装置の敷設状況

3.2 転換装置の動作確認

 トングレールを1往復転換させた際の変位計と圧力計の測定結果を図3に示します.トングレールの位置は行程を示しており、往路で0.0mmから163.3mmまで変化し,一定値となった後復路で0.0mmまで変化しています.転換圧力は,転換開始時と終了時にピークが確認でき,転換開始時のピーク値はアンロック圧力と転換圧力が混合した圧力,転換終了時のピーク値はトングレールを基本レールに押し付ける際の圧力です.アンロック圧力は,転換中にシリンダメーカーが推奨した圧力(30MPa)以上を保持できており,問題なく転換できることを確認しました.続いて,転換装置を連続で転換させた際の動作を確認するため,連続転換試験を行いました.その結果,定位から反位を1回として,約1万6千回の連続転換動作を確認しました.

(a)トングレールの位置

(b)転換圧力

(c)アンロック圧力

図3 動作確認結果

4.転換装置の改良と動作確認

4.1 転換装置の改良

 上記で紹介した転換装置はコンセプトモデルとして製作したため防水性がなく,雨天時での使用ができませんでした.そこで,図4に示すようにサーボアンプ等の電子機器を転換装置の本体とは別の場所の防水箱内に設置することで,雨天時にも動作できるよう改良を行いました.加えて,転換圧力を測定する圧力計を2個に増やし,シリンダに油が流入する2つの入口の手前に設置することにより,転換圧力のみを測定できる構造としました.

図4 改良後の転換装置

4.2 改良した転換装置の動作確認

 改良した転換装置の性能を確認するため,まくらぎに転換装置を設置した状態で,2時間にわたり時雨量100mmの水道水をレール直上から散布する散水試験を実施しました.図5に散水試験の状況を,図6に散水から2時間後の変位計と圧力計の測定波形を示します.図6より,往路で0.0mmから164.7mmまで変化し,一定値となった後復路で0.0mmまで変化しています.転換圧力は転換開始と同時に1MPa程度まで増圧し,その後,3.5MPa程度でトングレールを基本レールに押し付けています.アンロック圧力は転換中,メーカー推奨圧力(30MPa)以上を保持しており,散水状況下で転換可能であることを確認しました.散水試験により良好な結果が得られたことから,雨天時も含めて連続転換試験を再度実施しました.連続転換試験は3回にわたって,計10万7200回(第1回:7000回,第2回:3万3800回,第3回:6万6400回)行いました.連続転換試験中,ボルトの緩み等が発生し,対策が必要であることを確認するとともに,最終的にはサーボモータのエンコーダ部に浸水したことで転換不能となり,防水性能を向上させる必要があることを確認しました.

図5 散水試験の状況

(a)トングレールの位置

(b)転換圧力

(c)アンロック圧力

図6 動作確認結果

5.おわりに

 分岐器の保守の更なる省力化を実現するため,まくらぎに内蔵可能であり,かつトングレールの制御とモニタリングを両立させた新しい転換装置を製作して動作確認を実施しました.製作した転換装置は基本的な転換動作が可能であることを確認したものの,防水性に関して更なる検討が必要であることを確認しました.引き続き,防水性を含めた各性能を向上した転換装置の開発を行っていきます.

〈参考文献〉

1) 玉川新悟他:分岐まくらぎに内蔵したレール転換装置の開発,土木学会論文集A1,2020年3月

執筆者:軌道技術研究部 軌道構造研究室 山本智之
担当者:軌道技術研究部 軌道構造研究室 玉川新悟,清水紗希,安田新太郎

橋桁の浮き上がりに対する安定の照査

1.はじめに

 鋼橋や合成桁では,橋桁の浮き上がりに対する安定の照査を行います.この照査では,鉛直方向の地震動による上向きの力(上揚力)や,活荷重等によって連続桁の端支点に働く上揚力によって,橋桁を支える支承部が浮き上がらないことを確認します.しかし,現行の照査方法では,支承部に作用する地震時の上揚力が過剰になるうえ,浮き上がりを防ぐために著しく大きな支承を必要とする場合がありました.そこで,上揚力の算定方法を見直すとともに,地震時においては支承部の浮き上がりを完全に防ぐのではなく,浮き上がったとしても落橋に至らないことを確認する照査もできるようにしました.

2.上揚力の算定方法の見直し

 上揚力とは,地震による上向きの慣性力が橋桁の自重を超えた分にあたります(図1).この上揚力に対しては,線支承を例にとると,アンカーボルトや浮き上がり止めなどの部位が抵抗します(図2).現在の設計(現行法)では,橋桁の自重に鉛直方向の加速度を乗じた慣性力から上揚力を求めますが,鉛直方向の加速度は,水平地震動による加速度の1/2という,安全側に割り切った値を用いていました.この方法では,橋りょうの支間が長くなると自重が増えるため,上揚力が過剰に生じるという課題がありました.新しい算定法では,鉛直の地震動を考慮するとともに,地震動に対する橋桁の応答特性も考慮して上揚力を求めることとしました.

 固有周期等の異なる6橋の鋼橋・合成桁の動的解析(図3)により,鉛直地震動に対して支承に作用する上揚力の発生傾向を調べました1).支承に作用する最大の上揚力(図4)は,入力した鉛直地震動の弾性加速度応答スペクトル(実線)と同等かそれ以下の値となりました.弾性加速度応答スペクトルとは,固有周期ごとの揺れやすさを示したものですので,地震時には橋桁が上方向にたわむ動きによって支承部に上揚力が生じていることになります.また図4から,固有周期が大きい範囲,つまり長支間の橋りょうでは地震動による上揚力が生じていないことが分かりました.

 以上のことから,新しい上揚力の算定法では,弾性加速度応答スペクトルを用いることとし,その結果,特に長支間の橋りょうでは,支承部を経済的に設計できるものと考えられます.

3.浮き上がりにより落橋しないことの照査

 固有周期が小さい範囲では上揚力が生じ,地震動の種類によっては上揚力が大きくなる場合もあります(図4(c),(d)).このような上揚力に対して,支承部の浮き上がりを完全に防ぐには,上揚力に抵抗する部位を大きくする必要があります.
支承部に鉛直方向の地震動が作用した場合の,上揚力と浮き上がり変位の関係を解析から求めました.ここでは,上揚力の最も大きかった支間30mの合成桁と線支承を想定しました(図5).線支承では,アンカーボルトで固定した浮き上がり止めで支承部の浮き上がりを防止しています.解析結果を図6に示します.上揚力によって,まずアンカーボルトが抜け出します.その後,支承部の浮き上がりが大きくなりますが,その変位は最大でも17mm程度で,桁が支承から外れて落橋するような状態には至っていないことが分かります.つまり,「支承部が浮き上がったとしてもその変位が小さいので落橋しない」ことを確認すれば,無理にアンカーボルトを強固にせずとも,極めてまれな大地震に対しての安全性は十分に確保できると言えます.
 この結果を踏まえ,新しい照査方法では,動的な解析により浮き上がりの変位が小さいことを確認することとしました.

4.おわりに

 本稿では,地震時の橋桁の浮き上がりに対する安定の照査について,新たな照査方法を紹介しました.
 地震時に働く上揚力は,橋桁の応答特性に応じて算定できるようになりました.大きな上揚力が見込まれる場合は,支承部の浮き上がりを許容し,浮き上がりの変位が小さいことを確認することで,上揚力に抵抗する部位の寸法を抑えることができると考えられます.なお,これらの手法は,現在改訂中の鋼・合成構造の設計標準に反映する予定です.

<参考文献>

1) Masamichi SAITO, Tatsuya NIHEI, Yugo DOUCHI: Characteristics of Uplifting Force Acting on Bridge Bearings during Earthquakes, 12th World Congress on Railway Research, 2019
2) 斉藤雅充,秋山慎一郎,仁平達也,中田裕喜,田島文彦:鋼橋支承部の有限要素解析による上揚力応答性状の把握, 鋼構造年次論文報告集, Vol.25, 2017

発行者:荒木 啓司  【(公財) 鉄道総合技術研究所 施設研究ニュース編集委員会 委員長】
編集者:板谷 創平  【(公財) 鉄道総合技術研究所 構造物技術研究部 トンネル】