風向を考慮した強風に対する鉄道車両の安全性評価方法

風向別に転覆限界風速以上の強風が吹く確率を考慮した鉄道車両の安全性評価方法の提案です。

1.はじめに

強風下を走行する車両の安全性評価方法の一つに、車両が脱線転覆に至る可能性がある風速(転覆限界風速)以上の強風が発生する確率(強風発生確率)を用いて、その確率の大小で評価する方法があります。車両の転覆限界風速は列車の進行方向と自然風のなす角(風向角)によって変わることが分かっていますが、これまでは安全側の評価となるように、脱線転覆に最も危険な風向、つまり、転覆限界風速が最も小さくなる風向からの強風が吹いていることを想定していました。しかしながら、実際の車両には走行中に様々な風向からの風が吹いてきます。そこで、これまでの手法を改良し、風向別の強風の発生確率を考慮して走行中の車両の安全性を評価できるようにしました。

図1 安全性評価の概要(風向を考慮しない場合との違い)

2.安全性の評価

気象庁アメダス観測点での風向風速データ(気象庁提供)を用いて、約16kmの区間(図2)を100km/h(所要時間10分)で走行する際の車両の安全性を評価した例を表1に示します。ここでは、風向角による安全性の違いを評価するため、列車の進行方向を22.5度刻みで変えたときの結果を示しています。その結果、この例では列車が南に進む場合(進行方向180度)の強風発生確率は西に進む場合(列車の進行方向270度)と比べて大きいことが分かります。このように、風向を考慮することで列車が進む方向によって強風発生確率が異なることが分かるようになり、より現実に近い状態で強風下を走行する車両の安全性を量的に評価することができるようになります

図2 安全性評価の試算を行った線区の概要
(列車の進行方向と自然風の風向は北を0度とした時計回りの角度)
表1 安全性評価の試算結果例
(ある強風地の気象庁アメダスデータを入力値とした場合の例)

3.本手法の活用法

この手法を用いることで、その場所での強風の発生状況をふまえて、より効果的な強風対策を検討するといったことができます。例えば、強風対策として防風柵の設置を考えている場合に、防風柵を線路の両側に設置するか、片側にのみに設置するか、いずれかがより効果的かを検討するときに、本手法を用いてそれぞれの対策案の導入後の安全性の評価をすることで各対策案の効果を量的に比較、評価することが可能となります。

参考文献

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