11. 低温起動性能を向上した新幹線車両用ギヤ油

  • -30℃の低温下で歯車装置を安定して起動できるギヤ油を開発しました。
  • 高度精製鉱油を主な基油とし、コスト増加を小さく抑えて、低温流動性能を向上させました。

新幹線ネットワークが寒冷地に拡大することに伴い、歯車装置の潤滑に用いられるギヤ油には、高温での油膜形成に必要な粘度を確保しながら、-30℃程度の低温下においても起動時に十分な流動性を有することが求められます。しかし、現行ギヤ油は低温下において粘度増加が大きく流動性が不足しています。一方、低温での流動性に優れる化学合成油を基油としたギヤ油は、現行ギヤ油と比較して高コストとなっています。そこで、-30℃で歯車装置を安定して起動できることを目標として、現行ギヤ油の基油と比較して精製度を高めた「高度精製鉱油」を主な基油とし、あわせて添加剤を変更することにより、現行ギヤ油からのコスト増加を小さく抑えて、低温流動性能を向上したギヤ油を開発しました(図1)。

開発したギヤ油の性状試験では、-20℃における粘度の低下、流動点の降下により低温流動性能の向上を確認しました(表1)。また、実車歯車装置を低温環境で起動する低温起動性能試験において、より厳しい条件である規定下限値の油量においても、歯車装置を-30℃で安定して起動できることを確認しました(表2)。

さらに、酸化安定性、耐荷重・耐摩耗性能等についても試験を行い、開発ギヤ油の各種性能が現行ギヤ油と比較して同等以上であることを確認しました。

図1 開発ギヤ油と現行ギヤ油の温度による動粘度の変化
表1 低温流動性能に関連する性状試験の結果
表2 低温起動性能試験(-30℃)の結果
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