第371回 鉄道総研月例発表会
日時 | 2024年12月19日(木) 13:30~16:40 |
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場所 | 日本工業倶楽部会館2階 大会堂 |
主題 | 電力技術および浮上式鉄道技術に関する最近の研究開発 |
プログラムと発表内容
入場無料です。
受付は12:30から開始いたします。
ご聴講は事前登録制です。ご来場の際には参加証をご持参ください。
定員になり次第締め切らせていただきますので、お早めにご登録ください。
事前登録期間:2024年11月19日(火)10時から12月17日(火)18時まで
関係研究部 電力技術研究部 鉄道力学研究部 浮上式鉄道技術研究部
少子高齢化社会を背景とする労働人口の減少に対して鉄道を持続可能なものとするため、電力分野においては電車線路を始めとする設備の維持管理の効率化が喫緊の課題である。鉄道総研における課題解決に向けた取り組みとして、設備の劣化メカニズム解明とそれに基づく設備の長寿命化、デジタル技術を活用した検査の省力化等に資する研究開発がある。ここでは、これらの取り組みの方向性を概観するとともに、最近の研究開発成果を報告する。
- 発表者
- 電力技術研究部長 重枝 秀紀
トロリ線偏摩耗箇所でも高精度な摩耗計測を実現するには、光切断式トロリ線摩耗計測手法が有効である。本手法を360km/h走行での検査に適用するには、計測範囲の拡大と解析時間の短縮が必要であった。そこで、レーザー光源の交互点灯、カメラ・レーザー光源の協調制御による計測範囲の拡大と、トロリ線最良プロファイルの選択手法・並列計算による計測時間の短縮が可能なシステムを構築した。本システムについて新幹線車両での計測試験を実施し、実用上十分な精度が得られることを確認したので報告する。
- 発表者
- 電力技術研究部 集電管理研究室 副主任研究員 薄 広歩
新幹線は高速走行を行うためトロリ線の中間接続を設けず、トロリ線が部分的に摩耗・損傷した際も引留長全体を張替えている。また、応急復旧時の例外的な接続時は徐行運転を余儀なくされている。そこで、将来的なトロリ線張替コスト低減と現状の仮復旧時の徐行速度向上を目指して、新幹線用トロリ線の中間接続の基礎検討を行った。接続要件を満たす接続金具の質量・曲げ剛性を概算し、これらの質量・曲げ剛性が集電性能に与える影響を検討した結果、少なくとも速度200km/hまで適用可能であることを確認したので報告する。
- 発表者
- 電力技術研究部 電車線構造研究室 副主任研究員 中村 琢
電車線およびパンタグラフ間の接触において、低速走行時に摩擦に起因した微小な振動(以下、摩擦振動)が生じることがある。この摩擦振動によってトロリ線に波状摩耗が形成されることが報告されており、この課題の解決は架線保守の省力化および低コスト化の観点から重要である。本研究では、実験およびシミュレーションを用いて摩擦振動のメカニズムの解明および、それに基づいた防止対策の提案を行う。
- 発表者
- 鉄道力学研究部 集電力学研究室 研究員 天野 佑基
電車線路の電気絶縁部材としてポリマーがいしの導入が進んでいるが、塩害区間では想定より短期間で把持金具が腐食劣化する場合がある。本研究では、把持金具の腐食劣化状況を調査し、直流区間では直流漏れ電流による電食が、交流区間では塩害環境下での自然腐食が、それぞれ支配要因であることを示した。それらの結果に基づき、耐塩害性を向上したポリマーがいし(直流向け、交流向け)を試作し、評価を行ったので報告する。
- 発表者
- 電力技術研究部 き電研究室長 森本 大観
浮上式鉄道技術研究部は、超電導磁気浮上式鉄道に関する研究の他、得られた知見を活用して在来鉄道への応用研究に力を注いでいる。特に高温超電導の研究については、材料の基礎研究から応用機器の開発までを一体的かつ効率的に進めている。最近では、電気抵抗ゼロの送電で距離によらず変電所の送出電圧が維持可能となる超電導き電システムの鉄道実装に向けて、超電導送電の検証を行っている。ここでは、浮上式鉄道技術研究部の研究開発の取り組みを概観するとともに、最近の研究開発成果を報告する。
- 発表者
- 浮上式鉄道技術研究部長 富田 優
ある温度以下に冷却することで電気抵抗がゼロとなる超電導特性を利用した超電導き電システムは、直流電気鉄道に適用することで、電圧降下や送電損失などといった電気抵抗に起因する課題の解決が期待できる。これまで、超電導材料の評価から短尺ケーブルの設計・試作、所内外における車両走行試験などにより開発を進めてきており、現在、営業線における運用検証に取り組んでいる。本発表では、営業運用に至るまでに実施した冷却・通電などの基礎試験や、営業線における検証について報告する。
- 発表者
- 浮上式鉄道技術研究部 超電導・低温研究室長 福本 祐介
浮上式鉄道用地上コイルは、車両の浮上走行を支える重要な役割を果たしている。地上コイルは機械的、電気的、環境的負荷に耐える必要があり、適切な保守管理が求められる。特に推進コイルは絶縁性能の維持が重要であり、絶縁診断を効率的に行う装置が求められる。本発表では、絶縁性能の低下により推進コイルから発生する部分放電に注目し、部分放電に伴い発生する電磁波を車両に搭載したアンテナで移動しながら効率よく検出する絶縁診断用車載装置を提案する。また、要素技術をベンチテストで検証したので報告する。
- 発表者
- 浮上式鉄道技術研究部 磁気浮上研究室 副主任研究員 太田 聡
台車の輪軸に付けたディスクと台車枠に装荷した電磁石で構成し、電力回生や停電時動作が可能な付随車用非接触ディスクブレーキを開発している。付随車での簡易な電気ブレーキを目指しており、その励磁はインバータを使わずコンデンサを用いた共振により行う。この励磁回路について、試験機で電力回生の原理検証を行った。さらに、最も簡素な回路構成での電力回生を可能とするため、三相の電磁石から単相回路へ直接電力回生を行う方策を検討した。本発表ではこれらの検証試験結果について報告する。
- 発表者
- 浮上式鉄道技術研究部 電磁気研究室 副主任研究員 浮田 啓悟
司会:山下 主税(電力技術研究部 集電管理研究室長)
坂本 泰明(浮上式鉄道技術研究部 電磁気研究室長)
都合によりプログラムを変更することがあります。
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