第379回 鉄道総研月例発表会

日時 2026年01月15日(木) 13:30~16:50
場所 日本工業倶楽部会館2階 大会堂
主題 電力・集電技術および浮上式鉄道技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容


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受付は12:30から開始いたします。
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定員になり次第締め切らせていただきますので、お早めにご登録ください。



事前登録期間:2025年12月15日(月)10時から2026年1月13日(火)18時まで

13:30~13:45
電力・集電技術に関する最近の研究開発

 鉄道総研では基本計画RESEARCH 2030において、持続可能な鉄道システムの創造を目指し、安全・安心かつスマートで、環境に優しく、持続可能な未来の鉄道のあるべき姿を実現するために、革新的な技術を創出する研究開発を推進している。電力・集電技術においては従前より、設備異常の早期検知により安全かつ安定した輸送を提供するための研究開発や、カーボンニュートラルの実現に資する研究開発を、ステップアップしながら一貫して進めてきている。ここでは、持続可能な鉄道システムの創造に資する電力・集電技術の最近の研究開発成果を報告する。

発表者
電力技術研究部長  根津 一嘉

13:45~14:10
鉄道用蓄電装置による再エネ電力活用の実証試験

 2050年カーボンニュートラルに向けて、鉄道分野においても再エネ利用に資する蓄電技術を積極的に活用していくことが期待される。そこで、鉄道アセットにおいて再エネ電力を有効活用するために地上および車上用の充放電コントローラを開発し、地上電力設備側からの指令に基づいて車載蓄電池を充放電する電力ネットワーク制御システムを所内試験線に構築した。再エネ電力が余剰となる想定をしたケースでは、車載蓄電池に一部の余剰再エネ電力を充電しつつ、必要に応じて回生電力の充電も可能とする機能を実証したので報告する。

発表者
電力技術研究部 き電研究室 エキスパートマネージャー  小西 武史

14:10~14:35
リアルタイム異常検知によるパンタグラフ自動降下システム

 パンタグラフや電車線など集電系の異常は、双方の損傷が連鎖して広範囲な電車線の損傷や編成内のパンタグラフ全損など、大規模な輸送障害につながる場合がある。集電系の異常を早期に検知し、パンタグラフを自動降下させることで、連鎖的損傷の回避による被害縮小が可能となり、ダウンタイムの低減が期待される。そこで、過去の大規模輸送障害の記録から、検知するべき事象をパンタグラフの部品脱落とすり板段付摩耗および電車線への飛来物とし、リアルタイム異常検知によりパンタグラフを自動降下するシステムを構築したので報告する。

発表者
電力技術研究部 集電管理研究室 主任研究員  松村 周

14:35~15:00
ステレオカメラによる3次元電車線振動測定手法の開発

 パンタグラフの押し上げ等に起因する電車線の振動を測定し、その検査や調査等に活用することを目的として、電車線設備の3次元振動を線路外に設置した2台のカメラを用いて非接触で測定する手法を開発した。本手法では、測定位置に特殊なマーカーを貼付する必要が無いため、測定にあたっての停電作業や線路内立ち入りを必要としないという特長を有する。本発表では、開発した手法の概要を紹介し、実電車線設備を対象に実施した3次元振動測定試験の概要および試験結果を報告する。

発表者
鉄道力学研究部 集電力学研究室 主任研究員  長尾 恭平

15:00~15:20
休憩

15:20~15:35
磁気浮上・電磁気と超電導き電の最近の研究開発

 浮上式鉄道に関する技術開発と超電導の基礎から機器応用に向けた研究開発に取り組んでいる。浮上式鉄道の運用保守に活用できる振動監視技術、電磁気技術を活用した磁界センシング等の成果と社会実装に向けた超電導送電技術について概説する。これまで、電気抵抗ゼロの送電で距離によらず変電所の送り出し電圧が維持可能となる超電導き電システムの開発を進めてきた。1年以上にわたり営業線の列車に安定的に電力供給し、さらに、高負荷な過密ダイヤの都市圏通勤路線においては大電流の電力供給を行ったので報告する。

発表者
浮上式鉄道技術研究部長  富田 優

15:35~16:00
バッテリーフリー無線加速度センサを用いた地上コイル振動監視手法

 浮上式鉄道用地上コイルは、列車通過時に電磁力によって振動するため、簡易な振動監視手法が求められる。そこで、三軸加速度センサ、アンテナ、高周波集積回路により構成されるバッテリーフリー無線加速度センサを用いた振動監視手法の導入を検討した。本センサは、親機からの電波で給電するため外部電源が不要であり、電波の反射を利用した後方散乱通信を用いるため通信配線も不要である。本発表では、浮上式鉄道特有の磁場影響評価結果、及び、電磁加振装置による地上コイル振動監視結果について報告する。

発表者
浮上式鉄道技術研究部 磁気浮上研究室長  田中 実

16:00~16:25
低周波磁界測定用3軸型磁気光学プローブの開発および性能確認試験

 国内外で低周波磁界の測定に関する規格が制定されている。鉄道環境における低周波磁界の測定効率化を目的に、従来は周波数帯域等に応じて複数の磁界測定用センサを必要としていた課題を解決するため、ファラデー効果を利用する磁気光学プローブを開発した。本プローブは直交配置した素子とプリズム構造により小型での3軸化を実現した。直流から20kHzまでの周波数帯における時間応答性や直線性の試験でも良好な結果を得たので報告する。

発表者
浮上式鉄道技術研究部 電磁気研究室 主任研究員  加藤 佳仁

16:25~16:50
超電導ケーブルと冷却システム

 鉄道のき電系統に電気抵抗ゼロで送電が可能となる超電導ケーブルを導入すると、回生効率の向上、電力損失の低減、変電所間の負荷平準化や電圧降下抑制による変電所の集約化等が期待できる。一方で、超電導状態を維持するために冷媒を用いて冷却する必要がある。本発表では、超電導き電システムを構成する超電導ケーブルと冷却システムの設計思想について概説するとともに、数百mの超電導ケーブルの冷却基礎試験の結果について報告する。

発表者
浮上式鉄道技術研究部 超電導・低温研究室 主任研究員  小林 祐介

 司会: 電力技術研究部 き電研究室長  森本 大観
     
浮上式鉄道技術研究部 超電導・低温研究室長  福本 祐介


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