21. 車輪偏摩耗が沿線騒音に与える影響の定量化と偏摩耗検出手法

新幹線車両の車輪踏面上に局所的な摩耗(車輪偏摩耗)が生じると、高速走行時に沿線騒音に影響を与えることがあります(図1)。沿線騒音への影響の程度は明確にはわかっておらず、また、目視ではこの車輪偏摩耗を確認できないため、車輪踏面の状態を把握する手法が求められています。

そこで、多数の車輪の形状を調査し、沿線騒音に影響を与える偏摩耗の大きさは、摩耗幅が主に300mm程度であること、摩耗量は最大0.5mm程度であることが分かりました。また、最大摩耗量等に対応する車輪踏面上の凹凸レベルと沿線騒音の関係性から、摩耗量が0.1mm程度に相当する凹凸レベルを超えると、凹凸レベルに比例して構造物直下の騒音が増加することを明らかにしました(図2)。さらに、車輪に生じた偏摩耗の摩耗量とコンクリート高架橋に生じる振動の関係から、振動加速度レベルが1台車内の車輪の最大摩耗量δの約1.8乗に比例することを明らかにしました(図3)。これらの結果より、コンクリート高架橋の裏面に設置した振動計による測定結果に基づき、台車単位で車輪踏面に発生する0.1mm以上の摩耗量を推定することができます。