18. 長大緩衝工に対応した効率的な開口部調整方法

 トンネル微気圧波対策として、緩衝工の性能を十分に発揮させるためには、側面などに設置された開口部形状・位置・開口量の最適化が重要となります。新幹線の速度向上に伴い、緩衝工が長大化し開口部の数が増加する傾向にあるため、これらの開口部の状態を最適化することが困難になりつつあります。
 本研究では、緩衝工に設置された複数の開口部の個々の開閉状態を最適化する従来の方法に対して、各開口部の開度(開口部高さや幅)を一様に調整する最適化手法を提案しました(図1)。
 開発した開度調整法では、従来の位置調整法と比較して、トンネル内圧力勾配最大値に依存する微気圧波を同程度まで小さくできること(図2)、30m以上の長大緩衝工では最適化に要する試行回数を約80%低減可能であることを示しました(図3)。

 実際の緩衝工開口部最適化作業のような限られた試行回数においては、従来手法では緩衝工の性能を十分引き出せないことがあるため、長さに余裕のある緩衝工を設置する必要あります。
 本手法では、少ない試行でも最適条件に近い微気圧化低減効果を実現できるため、緩衝工設計長さを低減することが可能となります。