23. 超電導き電システム送電による営業線運用検証

 超電導き電システムは、ゼロ抵抗送電による変電所の集約化・削減、消費電力の削減等の効果が期待されています。
 これまで超電導き電システムの開発を進め、営業時間外の夜間において乗客なしの単独の試運転列車への送電試験等により、本線上での機能を検証してきました。
 しかし、実際の営業線では、速達列車と緩行列車等の様々な運転条件の営業列車が複数走行するため、複雑に変化する負荷電流への適応性や信頼性を評価する必要があります。
 また、変電所間への導入を想定した場合は、鉄道沿線に設置可能となるよう冷凍機の小型化が必要となります。

 そこで、まず鉄道沿線への設置を想定し、コンパクトで冷凍能力の高い冷凍機を実現しました。
 スターリングサイクルを効率的に動作させることで、冷凍機の体積あたりの冷凍能力を、従来機(0.15kW/m3)の約3倍である0.47kW/m3まで高め、1.5kWの冷凍能力をもちながら、約1.8m2のスペースに設置できる小型化を実現しました(図1)。

 次いで、営業時間内における運用検証に向け、超電導き電システムが技術上の基準に適合することを確認し、国土交通省からの認可を得ました。
 開発した冷凍機と超電導ケーブルから成る超電導き電システムを鉄道沿線に設置し、全長102m の超電導ケーブルを安定的に超電導動作温度まで冷却できることを確認しました(図2)。
 また、一日あたり上り方面67本、下り方面68本、合計135本の営業列車に電力を供給し、営業時間帯において、複数列車が走行することによって複雑に変化する負荷電流を、開発した超電導き電システムによって安定的に送電できることを確認しました(図3)。