パンタグラフすり板材料の研究開発

パンタグラフすり板(以下、すり板)とは、パンタグラフの一番上に設置された摩擦部材(図1)のことで、トロリー線と直接しゅう動して電気を受け取る大切な部材です。すり板には次の特性をもつことが求められます。

  1. 電気回路素子として十分な導電性
  2. 鉄道車両部品・構造部材としての強度
  3. 摩擦・摩耗部材として必要な高い耐摩耗性と相手材(トロリー線)を摩耗させない潤滑性
  4. 消耗部材として必要な経済性

すり板として使われる材料には、焼結合金や炭素系材料などがあり、線区、車種によりさまざまな材料が使われています(図1、表1)。近年、在来線の電車では炭素材に銅を複合させたカーボン系すり板が、新幹線電車では鉄系の焼結合金すり板が主に使われています。

車両のメンテナンスコストを下げるためにはすり板の摩耗を低減する必要があります。また、すり板の潤滑性によって相手材であるトロリー線の寿命も変わるため、すり板材料の高性能化は絶えず求められています。

最近のすり板材料の研究開発としては、

  • C/C複合材製すり板の開発と摩耗特性
  • 新潤滑材を適用した新幹線用すり板の開発
などがあります。

摩擦材料の研究開発における位置づけ

※ 車輪踏面調整子もあわせてご覧ください。

摩耗などの境界領域問題の解決のため、新たなパンタグラフすり板材料や、多機能化した車輪摩擦材である踏面調整子を開発しています。また、境界領域の状態制御を目指した新たなシステムを開発しています。

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