9. 鉄道向け統合分析プラットフォーム

 車両・軌道・電力等のメンテナンスデータは、それぞれ系統ごとに管理・活用されています。
鉄道はこれらが相互に関係するシステムであるため、自系統と他系統のデータを組み合わせて横
断的に分析することで、効率的に変状要因を抽出し、効果的な対策を行うことが期待できます。
しかし、系統横断的に分析する上で、データ形式と計測の頻度・精度、設備や走行位置等の表現
方法が系統ごとに異なることが課題となります。

 そこで、各系統のメンテナンスデータを一元的に管理し、系統横断的な分析を可能とする「統合
分析プラットフォーム(以下、プラットフォーム)」を開発しました。このプラットフォームでは、
上下線の区別、本線・副本線の区別や線路の改良に伴ってキロ程が不連続となった箇所にも対応で
きる「統一キロ程」を内部に持ち、系統ごとに異なる位置表現を相互に変換できるようにしました。
また、データ間の関係性を複数の指標で分析する手法を開発しました。これにより、複数の系統で
得られる膨大なデータから、設備状態が変化した可能性がある箇所などを効率よく抽出できます。

 開発したプラットフォームの機能を確認するため、所内試験線向けにプロトタイプシステムを
構築しました(図1)。本プロトタイプシステムにより、系統別に測定されたメンテナンスデータ
が自動でプラットフォーム内のミラーサーバに転送され、共通した形式で蓄積できることを確認
しました。また一例として、異なる形式で集約された車両の集電電流と変電所からの供給電流の
データを用いて、1 列車・1 変電所という基礎的な条件において100A 程度の地絡を数分以内に
検知できることを確認しました。

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