20. 温度センシングによる信号用電子機器の取替時期設定手法

 信号用電子機器は、劣化の兆候を捉えることが困難であるため、現在は機器の種類や使用環境・
使用状況によらず、一律の取替時期が設定されていますが、機器毎の使用環境・使用状況に合わせ
た適切な取替時期の設定が課題となっています。

 そこで、信号用電子機器を構成する電子部品やはんだの加速モデルから寿命を予測する既開発
の手法(従来手法)を基に、使用環境のセンシングにより対象機器の劣化状態の把握と今後の劣
化進展の予測を可能とする手法を開発しました。本手法では、信号用電子機器の寿命の支配的要
因である温度に着目し、温度センサの情報に基づく使用温度と電子部品および機器メーカが実施
する信頼性試験での試験温度を関連付ける加速モデルを用いて、単位時間毎の試験条件相当時間
を計算します(図1)。従来手法では対象機器周辺の日当たりや機器配置変更などの温度変動を考
慮し、寿命予測する際の設定温度にマージンを設けていましたが、本手法では温度センサの情報
を反映できるため実態に即した寿命予測が可能となります。この手法を鉄道沿線で使用される電
子機器に適用して寿命予測を試行した結果、従来手法と比較して温度マージン分の予測精度向上
を確認しました(図2)。なお、精度は低下しますが、対象機器が設置されている箇所の気象庁デー
タを活用した寿命予測も可能です。

 本手法により、使用環境や使用状況に応じた対象機器の取替時期を設定できます。

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