16. トンネル同士が極近接する場合の影響予測解析法

 都市部の地下空間は過密化が進み、トンネル同士が交差する近接工事(図1)が増加しています。

 トンネル同士の離隔が新設トンネルの直径以下である極近接工事では、新設トンネルの掘削に
伴って既設トンネルの変状等が生じる恐れがあるため、技術基準等において特別な検討が必要とさ
れています。しかしこれまでは具体的な検討方法がなかったため、地盤条件によらず一律に地盤改良
を実施しており、多額のコストを要していました。そこで、極近接工事において新設、既設トンネ
ルへの影響メカニズムを解明し、影響予測に用いることができる新しい数値解析法を開発しました。

 新しい影響予測解析法は、トンネルを三次元モデルで、地盤と既設トンネルとの相互作用をばね
で表現します。この相互作用ばねのばね係数を地盤の安定度が下がるにつれて低下させる計算方法
を構築しました(図2)。極近接時を模擬した土槽実験を実施したところ、交差位置に近づくにつ
ればね係数が低下する傾向や既設トンネルに生ずるひずみなどを適切に再現できることを確認しま
した(図3)。この解析法を用いることで、地盤条件に応じた影響予測が可能となり、良好な地盤では、
従来行っていた地盤改良を実施せずに施工可能という検討結果が得られます(図4)。

その他の関連コンテンツ