13. 架線の多様な異常形態を検出可能な画像解析手法

 架線金具の異常には、金具全体の変形のほか、検出が難しい破断などの局所異常や、ボルトの
組合せ異常など多様な形態が存在します。そこで、自然言語処理で用いられているデータ間の関
係性を数値化して学習する技術を応用して、局所異常と組合せ異常の両者に対応した機械学習ア
ルゴリズムを新たに開発しました(図1)。日中に屋外で撮像した架線金具の画像を対象として、
90% 以上の精度で異常検出が可能であることを確認しました。架線金具の主要な異常形態と考え
られる変形、破断、外れ、ボルト取付不良の4 種に対応したスクリーニング処理が可能です。

 また、ちょう架線など、より線で構成される部材の画像には陰影があり、腐食による変色の評
価が困難でしたが、機械学習を用いてより線を表す画素のみを抽出し、それらの色と輝度の成分
分布を腐食スコアとして評価する手法を提案しました(図2)。本手法により得られるちょう架
線の腐食スコアは、腐食の進行に伴って増加から減少に転じることから(図3)、これを時系列デー
タとして管理することで、腐食の程度を把握できるようになります。

 電気検測車や営業車の屋根上から電車線を撮影した画像に対して、開発手法を統合して適用す
ることで、画像のスクリーニングと異常箇所の可視化および腐食状態の定量化が可能となり、係
員による異常確認作業を効率的に行うことができます。

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