19. 膨張コンクリートの適用による軌道スラブの低配筋化

 軌道スラブは、直結系軌道の代表として50 年以上の実績を有するスラブ軌道の構成部材の
一つで、列車荷重を支持する役割を持ちます。現行の軌道スラブの鉄筋量ではひび割れ発生に
対する余裕度が低く、さらに鉄筋間隔が仕様で定められていることから、鉄筋量を減ずること
ができず、コストが高い要因となっていました(図1)。そこで、コンクリート硬化中に体積膨
張する膨張コンクリートを用いて低配筋化を図りました。膨張コンクリートは、その体積膨張
を鉄筋が拘束することで、コンクリートに圧縮力を導入できます。これにより、ひび割れの発
生を抑えられることから、鉄筋量を減らすことができます。一方、体積膨張が過度に発現する
と微細な損傷が生じ、耐凍害性が低下するという課題がありました。

 そこで、配合試験や凍結融解試験を行い、コンクリートの配合と膨張材の添加に伴う体積膨
張や耐凍害性の関係を明らかにしました。この結果に基づき、砂ではなくセメントを減じて膨
張材を添加することで、コンクリートの強度と体積膨張がバランスよく発現し、少ない添加
量で大きな体積膨張が得られ、さらに耐凍害性も従来と同等となることを確認しました(図2)。
ひび割れ幅の制限値を従来と同等にして設計した結果、鉄筋量を2/3 に低減でき、製造コスト
を5% 削減可能となりました(図3)。

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