第342回 鉄道総研月例発表会

日時 2020年11月16日(月) から
場所 ウェブ配信(視聴無料)
主題 信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

(関係研究部 信号・情報技術研究部


信号・情報通信技術に関する最近の研究開発(17分)

鉄道を今後も維持・発展させていくためには、デジタル技術の活用によってさらに安全で柔軟な列車運行を、できるだけ少ない設備と要員で実現していく必要がある。本発表では、RESEARCH 2020におけるデジタル技術の活用による省設備化・省力化に関する取り組みを総括したのち、RESARCH 2025で新たに取り組む研究開発のうち、特に画像処理・機械学習・無線通信の活用を中心に、課題と方向性を述べる。
 鉄道総研報告 Vol.34 No.2 「運行管理業務のデジタル化に関する研究開発の取り組みと今後の展望」
 鉄道総研報告 Vol.34 No.7 「信号通信分野におけるICT活用に関する研究開発の経緯と展望」

発表者
信号・情報技術研究部長 川﨑 邦弘


鉄道沿線信号設備における電子機器の耐用寿命評価手法(20分)

近年、鉄道信号設備への電子機器の導入が進められており、とりわけ沿線電子機器は、線路脇の収容箱内で使用されるため、温湿度、腐食性ガス、振動など、様々な環境ストレスの影響を受けることが想定される。そこで、使用環境に応じた機器寿命を推定するため、構成する電子部品(単体)と基板(接合部)に分けた寿命評価手法を開発した。本発表では、信号用電子機器の故障状況・使用環境の定量化について述べるとともに、提案する寿命評価手法について、ケーススタディを交えながら紹介する。
 鉄道総研報告 Vol.34 No.7 「鉄道沿線信号設備における電子機器の寿命評価手法」
 鉄道総研報告 Vol.32 No.5 「電子連動装置の使用環境を考慮した寿命評価手法の開発」
 RRR Vol.76 No.11 「鉄道沿線電子機器の劣化寿命を予測する」
 RRR Vol.75 No.4 「信号用電子機器の寿命を診断する」

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 主任研究員 藤田 浩由


連動結線図の自動作成と自動検証(16分)

連動装置の制御機は、コンピュータ制御とリレー制御に二分される。連動装置は、駅固有の制御条件の作成が重要な位置づけとなるが、共通に作成する“連動図表”のほかに、リレー制御では論理回路図として“連動結線図”を作成することで、連動論理構築の柔軟性や可視性を実現している。しかし、連動結線図の作成は人手を要することから、自動化が求められていた。そこで、連動図表から連動結線図を自動作成すると共に、“連動検査チェック表”に従って結線図の動作を模擬し自動検証する手法を開発したので紹介する。
 鉄道総研報告 Vol.33 No.7 「継電連動装置の結線図自動作成と自動検証」
 鉄道総研報告 Vol.25 No.5 「連動図表から結線図を自動生成するシステムの開発」

発表者
信号・情報技術研究部 列車制御研究室 主任研究員 関根 俊


列車前方カメラを用いた特殊信号発光機の明滅検知手法(17分)

踏切道内における異常に対する安全確保は、特殊信号発光機の発光信号を乗務員が目視で確認することで保たれており、システム的な防護が一部を除いてなされていない。そこで、特殊信号発光機の明滅発光を単眼カメラで検知し、乗務員に通知することで、運転を支援する研究に取り組んでいる。これまでに、明滅認識性能の評価とノイズ影響の評価試験を実施し、正しく明滅を認識できることを確認した。また、明滅発光を認識し運転士に通知する装置を試作し、動作試験を実施したので、これらの結果について発表する。
 鉄道総研報告 Vol.34 No.7 「列車前方カメラを用いた特殊信号発光機の明滅検知手法」
 RRR Vol.77 No.9 「踏切の異常を知らせる信号をカメラで捉える」

発表者
信号・情報技術研究部 画像・IT研究室 研究員 向嶋 宏記


鉄道運行向け統合情報ネットワークインフラ基盤技術の開発(17分)

従来の鉄道システムでは、系統毎に情報を収集・伝送する仕組みを構築していることから、系統間で情報を共有することが難しいという課題があった。そこで、鉄道運行に関する情報を系統間で共有して利用できる統合的な情報ネットワークを構築するための通信プロトコルを開発した。また、開発した通信プロトコルの機能を実証するために鉄道総研所内試験線にて実証実験を実施した。本発表では、開発したプロトコルの概要と実証実験結果、ならびに鉄道運行向けネットワークにおけるセキュリティ要件について紹介する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.5 「列車運行向け情報統合ネットワークの提案」
 RRR Vol.75 No.8 「運行に係る情報を共有する統合情報ネットワーク」
 第312回鉄道総研月例発表会 「鉄道運行用統合情報ネットワーク構想」

発表者
信号・情報技術研究部 ネットワーク・通信研究室 主任研究員 羽田 明生


情報ネットワークを利用した列車運行の評価シミュレータ(18分)

鉄道総研では、列車遅延の回復力向上、保守作業の効率化を目的に、列車制御と運行管理の機能を一体化した、情報ネットワークを利用した列車運行制御システムの開発を進めている。このシステムが実用化した場合の列車運行をシミュレーションで推定する手法と、簡易わたり線を使用した保守作業が旅客利便性に与える影響を評価する手法を構築したので、その内容とケーススタディの結果をあわせて発表する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.5 「運行管理と保安制御を融合した列車運行制御システムの基礎検討」
 鉄道総研報告 Vol.24 No.3 「線区条件に応じた列車軍の予測制御方式」

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 主任研究員 國松 武俊


道路交通量に基づく踏切群制御手法(17分)

列車本数と道路交通量が多いラッシュ時間帯では、踏切遮断による道路交通流の阻害が問題となっている。我々は、道路交通量に基づき渋滞量の大きい踏切を推定し、当該踏切に接近する列車に対して地上・車上間の無線通信により走行速度を指示することで、踏切の警報時間を短縮し道路交通流の阻害低減を図る手法を構築した。本発表では構築した手法の概要と、その適用効果をシミュレーションで評価した結果について紹介する。
 RRR Vol.77 No.7 「鉄道利用者の安全性向上」

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 副主任研究員 熊澤 一将


局所的な短時間強雨に伴う浸水の回避を目的とした列車停止・旅客避難支援システム(16分)

雨量計の観測値に基づく既存の安全対策では対処しきれない、局所的な短時間強雨(所謂ゲリラ豪雨)に伴う突発的な浸水等の被害を、運行中の列車が受けるリスクが高まっている。このような背景のもと我々は、局所的な短時間強雨に伴う突発的な浸水被害のリスクが最小となる、運行中の各列車の最適な停止位置を迅速に算出し、その結果をシステム画面上に表示するシステムを開発した。本発表では、算出アルゴリズムの概要と、開発したシステムが有する機能について紹介する。
 鉄道総研報告 Vol.32 No.7 「鉄道沿線における局所的短時間豪雨時の流出・氾濫影響評価手法」

発表者
信号・情報技術研究部 交通計画研究室 副主任研究員 奥田 大樹


関係研究部

 信号・情報技術研究部