第378回 鉄道総研月例発表会

日時 2025年12月22日(月) 13:30~17:00
場所 日本工業倶楽部会館2階 大会堂
主題 車両技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容


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入場無料です。
受付は12:30から開始いたします。
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事前登録期間:2025年11月25日(火)10時から12月18日(金)18時まで

13:30~13:45
車両技術に関する最近の研究開発

 鉄道総研における車両に関する研究開発は、主に車両技術研究部、材料技術研究部、鉄道力学研究部の3研究部が担っており、安全性の向上を中心に、生産性の向上、環境との調和、利便性の向上を目標とした取り組みを進めている。ここでは、車両技術に関する最近の研究開発について概観するとともに、主な成果について紹介する。

発表者
車両技術研究部長  瀧上 唯夫

13:45~14:10
輪軸挙動データを用いた走行安全性評価手法

 鉄道車両の走行安全性評価では、一般的にPQ軸と呼ばれる専用の輪軸を用いて横圧および輪重を測定するが、コストや作業負荷が大きいという課題がある。そこで本研究では、軸箱に設置したセンサーから得られる輪軸挙動データを用いて横圧および輪重を推定し、これらの推定値に基づく新たな走行安全性評価手法を検討した。そして、本評価手法と従来のPQ軸による評価を比較し、その有効性を検証したので報告する。

発表者
車両技術研究部 車両運動研究室 主任研究員  飯田 忠史

14:10~14:35
地震時軌道面振動に対する簡易な車両走行安全性評価法

 従来、鉄道車両の地震時走行安全性については、正弦波加振に対する安全限界線図を用いることで、車両の地震時耐脱線性に関する基礎特性を把握してきた。また、近年はいくつかの前提条件のもと、地震時の軌道面振動波形から脱線発生確率を推定することも行われているが、基本的には地震時軌道面振動ごとの評価であり、起こりうる地震時軌道面振動を広範に加味したものではなかった。本研究では、地震動と構造物の特性を広範に加味した鉄道車両の地震時走行安全性評価法について検討したので報告する。

発表者
鉄道力学研究部 車両力学研究室長  飯田 浩平

14:35~15:00
連結装置の破壊モードに着目した編成車両の衝突シミュレーション

 編成車両の衝突事故において、連結装置が損傷すると、車両間隔を一定に保つことができず、車端部同士の衝突を引き起こす可能性がある。そのため、編成車両内の衝突安全性を検討する上で、連結装置の破壊挙動の把握は重要である。本発表では、連結装置の破壊特性を把握するとともに、編成車両の衝突解析により、連結装置の破壊を抑止し編成の衝突安全性を高める方策を検討したので報告する。

発表者
車両技術研究部 車両強度研究室 主任研究員  佐藤 裕之

15:00~15:20
休憩

15:20~15:45
機械式の接触センサを利用した貨車の脱線検知

 長大編成として走行する貨物列車では、編成を構成する貨車のうち機関車からの離隔距離がある貨車が脱線した場合に脱線の認識が遅れることがある。そのような場合、貨車が脱線した状態で一定の区間を走行することにより、まくらぎやレール締結装置などの地上設備の被害を拡大させる恐れがあるため、貨車の脱線を早期に検知する手法の導入が求められている。そこで、スイッチ等で利用される機械式の接触センサを台車に設置して脱線を検知する手法を検討したので報告する。

発表者
材料技術研究部研究部 防振材料研究室 主任研究員  太田 達哉

15:45~16:10
主電動機回転情報を用いた列車走行時の異常振動検知方法

 本研究では、電動車両の主電動機の回転情報を、編成列車の状態監視に活用する可能性について検討した。特に、編成内の一部車両で発生した脱線による異常振動が、各車両の連結器を通じて列車全体に伝播する現象に着目した。脱線後にまくらぎ上を走行する状況を模擬した模型実験を通じて、脱線車両が発生させる振動が、隣接する正常車両の主電動機回転情報に与える影響から異常振動を検知できる可能性を確認し、それに基づく異常検知手法を提案したので報告する。

発表者
車両技術研究部 駆動システム研究室 エキスパートマネージャー  山下 道寛

16:10~16:35
車両床下機器外観の目視検査を自動化する画像検査システムの開発

 車両の定期検査として行われている床下機器外観の目視検査を自動化するために、走行する車両の床下機器側面の連続画像を地上から撮影する装置と、撮影画像から床下機器の外観上の異常の有無を診断するアルゴリズムを開発し、開発した撮影装置を車両基地に長期間設置して入換車両を撮影するとともに、実車両の床下機器に外観上の複数の異常を模擬して撮影した。本発表では、各模擬異常の撮影画像に対して、開発した診断アルゴリズムによる診断精度を評価したので報告する。

発表者
車両技術研究部 車両運動研究室 主任研究員  小島  崇

16:35~17:00
長寿命化を実現する主電動機用円筒ころ軸受

 主電動機軸受は、交換頻度が高く、グリースの定期的な給脂が必要なため、鉄道車両の台車のメンテナンス周期の延伸に対する制約因子の 1 つとなっており、長寿命化が求められている。そこで、長寿命化手法として、軸受の構成部品の 1 つであるころを軽量化する方法を考案し、これにもとづく円筒ころ軸受を開発した。本発表では、この軸受を用いた耐久試験結果を中心に報告する。

発表者
材料技術研究部 潤滑材料研究室 主任研究員  鈴木 大輔

 
司会:車両技術研究部 ブレーキシステム研究室長  中澤 伸一


都合により、プログラム(タイトル、発表順など)を変更することがあります。
 


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