第36回 鉄道総研講演会

気象災害に備える鉄道技術

日 時:2023年10月20日(金)13:00〜17:35

場 所:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11F)

主 催:公益財団法人鉄道総合技術研究所

プログラムと講演概要

13:00~13:10 開会の挨拶

会長  向殿 政男


13:15~14:15 特別講演
 超高齢・情報社会における気象災害の防止軽減

国立研究開発法人防災科学技術研究所 理事長 寶 馨 様
 毎年のように極端な気象現象が頻発し、日本各地を襲っている。計画規模を超過するような現象に対しては、大規模な氾濫・浸水が発生し甚大な被害がもたらされる。社会現象としては、高齢化が進む一方、情報通信システムはますます高度化している。こうした状況を踏まえながら、いかに災害に備えるかについて講述する。さらに、防災科学技術研究所が提供する様々な防災情報を紹介するとともに、社会と研究の関係を考察する。


14:20~15:00 基調講演
 気象災害に備える鉄道技術

理事 古川 敦
 鉄道総研では、激甚化する強雨・強風災害の防災・減災対策として、高密度で面的な現況の気象データを活用して災害リスクを評価し運転中止・再開を判断することでダウンタイムを短縮する手法、及び強雨災害被災後の斜面・盛土の残存耐力に応じた適切かつ迅速な応急復旧法等の構築を進めている。
 本講演においては、鉄道の安全を高める気象防災技術として、鉄道インフラの強靭化のための耐力評価や補強技術、気象に係る鉄道の諸課題の解決に資する高度シミュレーション技術、データ連携やハザードマップをベースとした鉄道防災プラットフォームの構築等に関する取り組みについて紹介するとともに、今後の方向性について展望する。


15:00~15:20 休 憩


15:20~16:45 講演

激甚化する降雨災害に対する鉄道インフラのレジリエンス向上

構造物技術研究部長 神田 政幸
 激甚化する降雨災害に対して、鉄道総研が取り組んできたインフラの弱点箇所抽出法や補強対策のほか、災害発生後の早期復旧のための診断法や段階的復旧方法を紹介する。また、今後の取組みとして、河川関係者との連携による強靭化や、鉄道インフラの維持管理の省力化・精緻化、補強対策の施工性向上・低コスト化について展望する。


シミュレーションによる気象災害の解明と予測精度の向上

鉄道力学研究部長 上半 文昭
 気象災害に関する発生メカニズム解明や対策評価について、鉄道総研が取り組んできたマルチスケールの大規模解析やマルチフィジックスによる連成解析などの技術を紹介する。また、鉄道防災プラットフォームを、ハザード予測、現象解明、強靭化効果の評価、即時被害予測などの様々なフェーズで支援する、高度シミュレーション技術の今後の役割について展望する。


気象データを活用した鉄道防災技術

防災技術研究部長 布川 修
 広域情報の鉄道防災への活用について、鉄道総研が取り組んできた気象データからの鉄道路線の実況風速マップの作成方法や、地形データからの斜面・盛土の安定性評価法などの基盤技術を紹介する。また、これらの技術を用いた鉄道防災プラットフォームの構築と、鉄道路線における運転規制や構造物の危険度評価への具体的な適用の方向性について述べる。


16:55~17:25 ディスカッション

登壇者:防災科学技術研究所 理事長 寶 馨 様 
    鉄道総研      理事  古川 敦 
モデレーター:専務理事 芦谷 公稔 


17:25~17:35 閉会のご挨拶

理事長  渡辺 郁夫

司会 専務理事 久保 俊一