14. Iビーム橋りょう支点部疲労き裂の対策工法

Iビーム橋りょうはI形鋼を利用した小断面の短スパン橋りょうで、支点部においてしばしば疲労き裂が発生します(図1)。発生部位が下フランジ首部であり一般的な当板の設置が困難であるため、これまでは有効な対策方法がなく、橋りょう自体を架け替えることが多くありました。これに対し、疲労き裂の発生した支点部をコンクリートで巻き立てて補修する工法を開発しました(図2)。

本工法は巻き立てコンクリートが列車荷重を負担することで、疲労き裂の発生部位に生じる応力を大幅に低減することが可能であり(図3、図4)、疲労き裂の進展を防止できます。また、本工法は小断面用に開発した構造であり、Iビーム橋りょうに多い桁長7m以下の橋りょうに対して適用できます。

疲労き裂の発生原因は支点部の沓座損傷であるため(図2)、従来は沓座損傷も合わせて補修する必要があり、桁のジャッキアップなど大掛かりな工事が必要でした。本工法では、沓座損傷の補修は不要で、桁のジャッキアップも不要なため、夜間間合い等の短時間での施工も可能で、工事費は架け替えた場合の約1/3にできます。