15. 電車線コネクターの耐疲労性の向上
トロリー線とちょう架線を電気的につなぐ電車線コネクターは、パンタグラフの通過に伴う振動によって疲労損傷しますが、これまで明確な疲労対策は提案されていません。そこで、コネクターの耐疲労設計指針を提案し、これに基づき耐疲労性が高いコネクターを試作しました。
コネクターの疲労損傷は、主にトロリー線とちょう架線の相対変位によって発生します(図1)。また、電車線の振動数とコネクターの固有振動数が一致する共振によっても、著しく疲労損傷します。電車線の振動解析により、在来線における相対変位は最大で40mm、前駆振動や残留振動の振動数は0.8〜8.0Hzの範囲で発生することがわかり、これらの値を疲労評価の新基準としました。
コネクターの固有振動数と40mmの相対変位に対する疲労寿命を有限要素解析で求め、耐疲労性を判定しました(図2)。相対変位40mmに対する疲労寿命が1千万回以上であること、およびコネクターの固有振動数が前駆振動や残留振動の振動数よりも高い8.0Hz以上であることを、耐疲労設計指針として提案しました。
有限要素解析を用いて図3に示すコネクターを試作しました。相対変位や共振に対する疲労寿命は1千万回以上であることを確認しました。本試作コネクターを在来線の営業線で約6ヶ月間仮設し、リード線に素線切れがないことや、トロリー線の摩耗が増加しないことを確認しました。