22. 台車・車体間の振動伝達を抑制するための緩衝ゴム

 走行中の車体振動は乗客の乗り心地に悪影響を及ぼすため、その低減が求められています。そこで、台車から車体への振動の伝達を抑制することで車体の弾性振動を低減し、乗り心地を向上する一本リンクおよびヨーダンパ用の緩衝ゴムを開発しました(図1)。
 本緩衝ゴムは通常は接着して一体化するピンとゴムとを非接着とし、両者間に微小隙間を設けることで高周波の台車振動は吸収し、台車・車体間の相対変位が大きくなるとピンがゴムに密着して通常の緩衝ゴムと同等の性能を発揮することで、高周波の振動の伝達抑制と走行安定性の両立を実現しています。コストは現状品とほぼ同等で、取付部の形状は現状品と互換性があるため、既存車両の部品から置き換え可能です。

 特急車両のヨーダンパに本緩衝ゴムを適用して営業線で走行試験を行った結果、車体上下振動が低減し、乗り心地レベル(LT)で3dB以上の乗り心地向上効果を確認しました(図2)。
 また、新幹線試験車両の一本リンクもしくはヨーダンパに本緩衝ゴムを適用し、車両試験装置の高速回転試験において走行安定性に問題がないことを確認した上で、加振試験を実施した結果、前後方向の加振力が顕著となる条件では、車体振動加速度パワーが現状の緩衝ゴム装着時と比べて60%(LT換算で約4dB)低減する効果が得られました(図3)。