26. 高周波数域に対応した車体の三次元振動解析モデルの構築手法

 車両設計時の構造変更に伴う車体振動特性の予測等を目的として、これまでに様々な車体振動解析モデルが提案されています。  しかし、既存の解析モデルでは20Hz以上の高周波数域での再現精度に課題がありました。  そこで、高速走行時等に増大する20Hz以上の周波数域の車体振動を再現するため、有限要素法を用いて車体各面および各面間の接続を三次元弾性体でモデル化しました。  また、複数の部材で構成されている車体各面をそれぞれ一体の弾性体として表現した場合の見かけのヤング率等、図面情報からは直接求められないパラメータを効率的かつ自動的に調整するため、実測した車体の固有振動モードに基づきパラメータを決定する手法を開発しました(図1)。

 例として、新幹線車両の車体の三次元振動解析モデルを作成し、40Hz までの周波数域で観測した計 14 個の車体の固有振動モードについて実測値と比較した結果、固有振動数の誤差は 5%未満であり、かつ車体各面の変形形状も概ね一致する等(図 2)、既存の解析モデルでは再現できなかった 20Hz 以上の振動モードを再現できることを確認しました。

 本解析モデルを用いることで、40Hz程度までの車体の弾性振動特性の評価が可能となり、車両設計時の車体構造変更による振動特性の改善等に活用できます。