第382回 鉄道総研月例発表会
| 日時 | 2026年05月21日(木) 13:00~16:55 |
|---|---|
| 場所 | 日本工業倶楽部会館2階 大会堂 |
| 主題 | 軌道技術に関する最近の研究開発 |
プログラムと発表内容
入場無料です。
受付は12:00から開始いたします。
ご聴講は事前登録制です。ご来場の際には参加票をご持参ください。
定員になり次第締め切らせていただきますので、お早めにご登録ください。
事前登録期間:2026年4月21日(火)10時から5月19日(火)12時まで
生産年齢人口の減少に伴う労働力不足が進む中、鉄道の安全および安定輸送を維持するために、軌道分野ではメンテナンスの省人化が喫緊の課題となっている。このような背景の中、鉄道固有のコア技術を高度化させ、持続可能な鉄道システムを構築することが求められている。本発表では軌道に関する実験技術やシミュレーション技術、評価・予測・判断技術に関する最近の状況について紹介する。
- 発表者
- 軌道技術研究部長 桃谷 尚嗣
バラスト軌道では、鉄道車両の走行やつき固め作業の繰り返しにより、バラストが砕けたり細かくすりつぶされたりすると(以下、劣化)、バラストの排水性の低下とともに強度も低下し、大きな軌道変位が生じる可能性が高くなる。そのため、バラストの劣化を抑制して長寿命化できれば、バラスト軌道の持続可能性に寄与できる。本研究では、つき固め試験、実物大試験を実施し、つき固め作業によるバラストの劣化を抑制するハンドタイタンパを開発したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道・路盤研究室 エキスパートマネージャー 中村 貴久
1980年代以前に寒冷地に敷設された一部のスラブ軌道においては、てん充層(CAモルタル)が凍害により劣化している事例が報告されている。てん充層の劣化進展の程度は、環境温度や通過トン数等によって異なるため、敷設エリアや線区に応じた劣化予測を行うことが重要である。そこで、てん充層の劣化進展解析モデルにより、散水・防振区間および既補修箇所を対象とした劣化予測を行ったので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道・路盤研究室 主任研究員 渕上 翔太
新幹線の地震対策が進む一方、逸脱対策等により、地震時に車両から軌道に作用する横圧の著大化が懸念される。しかしながら、著大横圧に対するレールの水平抵抗に関する知見は少ない。本研究では、著大横圧に対する新幹線スラブ軌道のレールの水平抵抗特性および軌道部材の破壊性状を把握することを目的に、実物大の軌道を用いて、レールの水平載荷試験を行った。その結果、レール頭部または底部に水平力が作用した際の軌道部材の損傷過程および荷重伝達特性などの基本的な力学挙動を把握したので報告する。
- 発表者
- 鉄道力学研究部 構造力学研究室 主任研究員 成田 顕次
軌道変位のうち複合変位については、国鉄時代に運用されていた2軸貨車の走行特性に基づいて整備基準値が定められたため、現在運用されている車両に対して必ずしも最適とはなっていないことから、現行車両の走行安全性に対する適用範囲の明確化や,新たな軌道変位の複合管理指標への見直しが求められている。そこで、旅客車両も含めて現在運用されている車両の走行特性を分析し、軌道変位起因の脱線を防止するための新たな複合管理指標を検討したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道管理研究室 主任研究員 吉田 尚史
鉄道事業者は鉄道の安全運行のために、定期的に保線係員が線路巡視を行っている。線路巡視のうち、保線係員が列車上から目視や体感で線路を点検する列車巡視に着目し、これまでに、列車巡視を低コストにDX化する方策として携帯情報端末の活用を提案している。本研究では、携帯情報端末を使用して列車巡視時に高頻度に列車動揺や前方画像を計測し、そのデータの推移を分析することで軌道状態の変化を把握し、軌道の維持管理に活用する手法について検討したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道管理研究室長 田中 博文
労働人口の減少や高齢化に伴い、デジタル技術を活用した維持管理業務の省力化・省人化が求められている。近年では、汎用の携帯情報端末を加速度や動画等を取得するセンサとして利用し、列車巡視業務を低コストに省力化・高度化する手法の検討が進められている。本研究では、携帯情報端末で取得可能な列車前方動画のさらなる活用に向けて、SfM-MVS 技術を用いて線路周辺空間の3次元モデルを作成し、得られたモデルの寸法精度や活用方法等について検討したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道管理研究室 主任研究員 梶原 和博
夏季高温時に発生する軌道座屈に対して、各種抑制策を講じているが、複合的な要因により発生を完全に抑制するのが難しいのが実態である。本研究では、軌道座屈に対する安全性を向上するために、軌道検測データに加えて車両に搭載されたLiDARセンサを用いた建築限界測定装置による道床形状推定結果を用い、通り変位に基づく座屈発生温度の推定手法と合わせた安定性の評価方法を開発したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道構造研究室長 西宮 裕騎
本発表では、延長約60kmの営業線に対し、既往研究で開発したレール温度解析手法と気象庁観測データを用い、2023年1月1日から12月31日までのレール温度時空間分布を、1m間隔、時間増分10分で推定した。これにより、気象条件、日陰、レールの敷設方向等の諸条件の温度への影響を定量化するとともに、年間の最高レール温度、高温となる累積時間等から、軌道座屈に対する要注意箇所を抽出したので報告する。
- 発表者
- 鉄道力学研究部 軌道力学研究室 主任研究員 浦川 文寛
在来線では十分な施工実績があるテルミット溶接法は、凝固割れを始めとする施工不良を施工後の検査で見逃した場合には、早期折損につながる恐れがある。これは、輸送障害が発生した場合の影響が大きい新幹線への導入に慎重となる要因の一つとなっている。そこで、レールが早期折損に至るような凝固割れが発生した場合に、施工後の検査で適切に検知できる非破壊検査手法を提案するとともに、凝固割れが発生したテルミット溶接部を列車が通常走行しても、少なくとも1 日間は破断させないための補強方法を開発したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 レールメンテナンス研究室 エキスパートマネージャー 寺下 善弘
シェリング等によって発生する頭部横裂はレール折損につながることから、超音波探傷車による検査が行われている。しかしながら、水平裂の下に存在する横裂は検知できないため、別途手探傷による細密検査が実施されており、多大な労力を要している。本研究では、車上から非接触で横裂を検知可能なガイド波を用いた頭部横裂検査装置を試作し、営業線で発生したシェリングに対する検証試験を行ったので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 レールメンテナンス研究室 研究員 髙山 大陸
電気転てつ機を用いた従来の分岐器のポイントは、まくらぎ間に設置された転てつ棒や控え棒の箇所で、バラストの充填が不十分となるうえ、バラストのつき固めができない。また、トングレールと基本レールの隙間の検査や調整作業、トングレールの転換不能に伴う修復作業には多大な労力を要している。そこで、まくらぎ直上に設置しトングレールを転換させる「転換装置」と、転換後に隙間を調整する「隙間調整装置」を開発することで、保守省力化を目的とした分岐器のポイントのコンセプトモデルを提案したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道構造研究室 主任研究員 玉川 新悟
新幹線に敷設されているまくらぎ直結分岐器の固定クロッシングのノーズレールにおいて、塑性変形に伴う大きな落ち込みが生じ、交換周期の短いものが散見されている。本研究では、落ち込みの要因を推定し、その対策としてクロッシングの弾性支持構造の開発を行うとともに、開発品の試験敷設により、施工性および落ち込みの低減効果を確認したので報告する。
- 発表者
- 軌道技術研究部 軌道構造研究室 主任研究員 清水 紗希
司会:弟子丸 将(軌道技術研究部 レールメンテナンス研究室長)
都合により、プログラム(タイトル、発表順など)を変更することがあります。
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