地点対応可能な複合振動乗り心地推定法

これまで、乗り心地評価は振動加速度を上下・左右・前後方向別に分析するのが一般的でしたが、実際の乗客は、振動を上下・左右・前後のような方向別ではなくひとまとまりとして体感しています。

そこで、体感乗り心地(主観評価)により近い乗り心地推定を目指し、上下・左右の振動の影響を合成成分として捉える「複合推定値」を提案しました(図1)。複合推定値は、上下・左右の方向別の加速度に感覚特性フィルタ処理を行った後に合成して算出するもので、時間変化を捉えることが可能なため、乗り心地が悪い振動や地点を割り出すことができます。

さらに、この複合推定値により見出した地点の悪化原因分析を目的として乗り心地情報一元表示システムを開発しました(図2)。複合推定値と乗り心地に関する様々な情報(方向別の振動成分、軌道情報、構造物情報、画像等)を、地点情報により同期させ一元表示が可能です。また、走行試験や軌道検測車などの測定データを取り込んで、データ変化を動画として表示することができます。これにより、任意の時間/地点の様々な情報がビジュアル化されて直観的に理解しやすくなり、乗り心地の改善に向けた人間−車両−軌道分野の連携した取り組みに利用可能です。

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参考文献

  1. 中川千鶴:複合振動に対する乗り心地の時間変化推定、人間工学、Vol.49、Supplement、pp.S356-S357、2013